高血圧

高血圧は、皆さんも知っている身近な病気です。
自覚症状が少なく気づきにくいため、健診で血圧測定してみたら数字を見てびっくり!ということもよくあります。
現在、ガイドラインでとても良いとされる至適血圧は120/80mmHg末満。140/80mmHg以上が高血圧に分類されています。
高血圧が身体にどう影響するのか
高血圧は、血液が血管の壁を強く押している状態です。
この状態が長く続くと、血管壁は傷がつきやすくなってしまいます。傷ついた血管壁は修復されますが、かさぶたができるように少し分厚くなります。
血管壁が厚くなり血管が狭くなっても、血液は同じだけ流れようとするので、さらに血圧が上がり、血管の筋肉も硬くなっていきます。
動脈硬化や血管の閉塞・梗塞はこのようにして進行していき、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞などが引き起こされることもあります。その他にも腎臓病、認知症発生の可能性も高めてしまいます。高血圧を放っておくと、さらに重大な病気になるかもしれないのです。
高血圧になる理由
血圧が高くなってしまう理由は、遺伝によるものと、生活習慣によるものが考えられます。
高血圧を誘発するような生活習慣には次のようなものがあります。
○肥満
肥満によって引き起こされる過度のインスリン分泌は、ナトリウムの再吸収を促し、血中のナトリウム濃度を上昇させてしまいます。
すると体は血液中に水分を取り込んでナトリウム濃度を正常値まで下げようとします。その結果、血管内の血液量が増え、血管を圧迫する力が強くなってしまいます。さらに肥満による脂肪細胞の肥大化によって分泌される生理活性物質が血管を収縮させて、血圧を上昇させてしまいます。
○塩分過多
血中の塩分濃度の上昇を防ぐために水分を多く取り込んだ血液は、血管の壁を強く圧迫して血圧を上げてしまいます。
○ストレス
ストレスは交感神経を刺激し、カテコールアミンやコルチゾールといった興奮をつかさどるホルモンの分泌を促して血管を収縮させ、血圧が上昇します。
○他にも喫煙や飲酒などの習慣は血管を収縮、さらに血管を硬くしてしまうので血圧の上昇を招いてしまいます。
高血圧治療
血圧が高かったら、すぐに薬での治療が始まるわけではありません。高血圧の原因が、他の病気によるものではないかを鑑別し、糖尿病、脂質異常、喫煙、肥満の有無も確認します。
家庭での血圧の測定も大切です。診察室での測定より信頼性が高いとされています。
また、有酸素運動も効果的です。少し息が弾む程度の早歩きを30分以上行うのが理想です。
体重が減れば血圧も下がります。3~4kgの減量でも降圧が実感できます。
少し体を気にかけて食事や運動習慣を見直すと、だんだん健康になっていくのが楽しくなるはずです。
薬での治療が始まったとしても、生活習慣については継続して気を付けていく必要があります。
症状が軽い場合は、生活習慣の改善で十分に血圧を安定させることが見込めるでしょう。
初期の高血圧を見つけたら生活習慣を見直すいい機会です。まずは医師の診察を受け、その指導にしたがって、生活習慣を改善しましょう。