歯を大切にしよう!

歯周病は、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患ですが、虫歯とは違い痛みなく進行する怖い病気です。
歯と歯ぐきの境目(歯肉溝)の清掃が行き届かないでいると、そこに多くの細菌が停滞し(歯垢の蓄積)、歯肉の辺縁が「炎症」を帯びて赤くなったり、腫れたりします。そして、進行すると歯周ポケットと呼ばれる歯と歯肉の境目が深くなり、歯を支える土台(歯槽骨)が溶けて歯が動くようになり、最後は抜歯をしなければいけなくなってしまいます。
また、歯周病菌から出てくる毒性物質が歯肉の血管から全身に入り、様々な病気を引き起こしたり悪化させる原因となります。
炎症性物質は、血糖値を下げるインスリンの働きを悪くさせたり(糖尿病)、早産・低体重児出産、肥満、血管の動脈硬化(心筋梗塞・脳梗塞)にも関与しています。
また、歯周病菌のなかには、誤嚥により気管支から肺にたどり着くものもあり、高齢者の死亡原因でもある誤嚥性肺炎の原因となっています。

歯周病セルフチェック(日本臨床歯周病学会が提示)
① 朝起きたとき、口の中がネバネバする。
② ブラッシング時に出血する。
③ 口臭が気になる。
④ 歯肉がむずがゆい、痛い。
⑤ 歯肉が赤く腫れている。
⑥ かたい物が噛みにくい。
⑦ 歯が長くなったような気がする。
⑧ 前歯が出っ歯になったり、歯と歯の間に隙間がでてきた。食物が挟まる。
※上記の項目が3つあてはまる⇒油断は禁物です。ご自分および歯科で予防するように努めましょう。
※上記の項目が6つあてはまる⇒歯周病が進行している可能性があります。
※項目が全てあてはまる⇒歯周病の症状がかなり進んでいます。

歯周病は予防が重要(歯周病予防=プラークを徹底的に除去すること)

歯周病は細菌の感染によって引き起こされると言いましたが、口の中にはおよそ300~500種類の細菌が住んでいます。
ブラッシングが十分でなかったり、口が乾いていたりすると細菌の塊ができます。この細菌の塊を歯垢(プラーク)と言い、これは粘着性が強くうがいをした程度では落ちません。
歯周病菌を殺菌するためのうがい薬が売られていますが、強力なバイオフィルムは抗菌うがいだけでは十分には取り除けません。
日本歯周病学会によると、「歯周病の一番の予防法はプラークの除去そのもの」だそうです。歯垢(プラーク)をしっかりと歯ブラシなどを使って除去するしかありません。
毎日歯ブラシでの歯磨きに加えて、デンタルフロス、歯間ブラシなどの補助器具を使ってプラークコントロールを的確に行うことが大切です。
口の中の細菌の数は、清浄状況で決まります。普段からきちんと歯磨きができている健康な方の口の中の細菌の数は、100億個以下といわれていますが、歯磨きが十分にできていない場合は、1兆個程度になるといわれます。
これらの細菌の全てが虫歯や歯周病を引き起こす悪玉菌ではありませんが、特定の細菌だけを除去する事はできませんので、口の中にいる細菌の全体数を減らすことが歯周病予防への近道です。
また、定期的に歯科医院でクリーニングを受け、歯周ポケット内部の歯垢、バイオフィルムや歯石を除去し、細菌を減らすことが大切です。
定期健診を受けましょう。