塩と健康の関係

毎日の食卓に欠かせない「」ですが、塩が体内でどのような働きをしているか、ご存じですか?
塩の働き
塩は海水を煮つめて作られたもので、塩化ナトリウムとも言われます。体内では、ナトリウムイオン・塩化物イオンとなって、血液や消化液、リンパ液など体のいろいろな所に存在しています。
消化を助ける
塩化物イオンは胃酸のもとになり、胃で食物を消化し殺菌を行います。ナトリウムイオンは、小腸で栄養を吸収するのに必要とされています。
細胞を正常に保つ
体液に溶けているイオンが細胞の内と外との圧力を調整し、細胞が正常に働けるようバランスを保っています。
神経や筋肉の働きの調整
皮膚からの刺激を脳に伝えたり、手足などを動かすよう脳からの命令を筋肉に伝える働きをするのが神経細胞で、ナトリウムイオンは刺激を伝えるのに必要とされています。
塩の摂りすぎが招く病気
高血圧
体内の塩分濃度が高くなると、薄めるために喉の渇きを感じて水分をたくさん摂るようになります。すると、血液量が増えて血管内で張りつめたようになり、そのような状態で心臓がより高い圧をかけて血液を送り出そうとするため、高血圧になります。
腎臓病
体内の余分なナトリウムは腎臓で尿と一緒に排泄されますが、塩を摂りすぎると排泄するために腎臓が働きすぎて疲れてしまい、腎臓の機能が低下して腎臓病を発症する可能性があります。
尿路結石
腎臓でナトリウムを排泄する際、カルシウムも一緒に排泄されます。塩を摂りすぎると、カルシウムの排泄も増えて尿中での濃度が高くなるため、尿路結石ができやすくなります。
骨粗鬆症
塩の摂りすぎでカルシウムの排泄量が増え、体内のカルシウム量が減ることで骨粗鬆症を起こしやすくなります。他にも、むくみの原因になったり、胃がんの発症リスクを高めるとも言われています。
塩分摂取量の目安
厚生労働省による「日本人の食事摂取基準(2020年度版)では、20歳以上における1日当たりの塩分量の目標値は男性で7.5g、女性で6.5g未満となっています。
しかし現状は、「令和元年国民健康・栄養調査の概要」によると日本人が1日に摂取している塩分量の平均は男性が10.9g、女性が9.3gで、目標には遠く及びません。
そこで、減塩をさらに進めていくために目標値を「男女とも1日7g未満」とする案が最近発表され、近いうちに決定する予定です。
さらに、「高血圧や慢性腎臓病の重症化予防のためには目標値を男女とも1日6g未満とする」とされており、日本高血圧学会でも「1日の塩分摂取量は1日6g未満が望ましい」としています。
体の働きを保つために必要な塩ですが、摂りすぎると悪影響を及ぼします。暑い時期には塩分補給が勧められますが、日頃の食事で十分な量を摂っていますので、大量に汗をかく作業を行うのでなければむしろ減塩を心がける方がよいでしょう。