医薬品の供給不足について

新型コロナウイルス感染症の感染症法の位置づけが5類感染症に移行し、4年ぶりに行動制限のない夏を迎えましたが、第9波やインフルエンザなどを含め様々な感染症も流行中です。そんな中で薬局では、風邪の症状を抑えるために使用する薬を中心にさまざまな薬が品薄となっています。

 

薬が不足しているって本当?

日本製薬団体連合会が、薬価収載されているすべての医薬品を対象に行った「医薬品供給状況にかかる調査(2023年7月)」の結果によると、通常通り出荷ができない「限定出荷」と「供給停止」に該当する薬の品目は22.4%にのぼります。病院で処方される薬のおよそ5分の1の品目が、何らかの事情で入手しにくい状況です。

医薬品の供給が不安定になっている原因は一つではなく、行政処分による出荷停止、感染症などの流行で需要の増加、原材料の調達に関するトラブル、製造や品質に関するトラブルなど様々な理由が影響しています。

 

薬局の現状

薬局は必要な医薬品を常時一定数備蓄するよう努力しています。しかし、これまでは注文後翌日、翌々日などに届いていた薬が、最近ではいつ届くのかわからないことさえあります。特にこれまで注文したことのない薬はなかなか手に入りません。

入手が困難な薬は多岐にわたり、感染症関連では、小児に処方される抗菌薬、アレルギー薬、総合感冒剤、咳止めや痰きりといった風邪症状に用いる薬全般です。ほかにも、漢方薬、解熱鎮痛薬などが入手しにくくなっており、不足している薬の代替薬関係もひっ迫し、具体例を挙げればきりがないというのが現状です。

必要な薬を何とかして患者さんに届けるために、薬局間で薬を融通しあうなどの工夫をしていますが、どうしてもその薬の入手ができない場合は、医師に状況を説明して、同じような効果の別の成分の薬に変更が可能かを問い合わせることもあります。

 

薬不足に備えるには?

一刻も早くこの状況が改善されることが望まれますが、一人ひとりが今できる対策があります。

☆感染症予防対策

感染症にかからないように日々手洗い・うがい等の予防対策を続けていきましょう。特に、帰宅時・食事前の手洗い・うがいは大切です。混み合っている場所や病院、介護施設など重症化のリスクが高い方が集まる場所では、必要に応じてマスクを着用しましょう。

もちろん、どんなに気をつけて予防していても感染してしまうこともあります。いざというときに備えて総合感冒剤や解熱鎮痛薬などの市販薬を備えておくのも安心です。

☆かかりつけ薬局を利用しましょう

慢性疾患等で定期的に通院されている方は、かかりつけ薬局やかかりつけ薬剤師をもちましょう。「いつもの薬」を「いつもの薬局」でもらうようにすれば、薬局は事前に注文をかけておくことができ、薬を確保しやすくなります。

関係各所で連携し、必要な医薬品を適切に使用できる状況に戻ればと切に願います。