B型肝炎

B型肝炎
B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)の感染により起こる病気です。ほとんどの人は一過性の感染で終わって治癒するのですが、HBVのタイプによっては感染が持続することがあります。国内には持続感染している人が130万~150万人いるといわれており、肝炎を発症しない無症候の人が9割を占めますが、1割の人は発症し、肝硬変や肝がんに進展することもあります。

原因
ウイルスを含む血液・体液が、体に入り込むことで感染します。昔は出産前後の母子感染や、輸血や注射器の使い回しによる感染、医療従事者の針刺し事故による感染が多かったのですが、感染防止対策や医療環境の整備、献血された血液に対する適切な検査により現在はこのような感染はほとんどなく、最近は性交渉による感染が増えています。

症状
急性と慢性で症状が異なります。
急性肝炎倦怠感・食欲不振・吐き気などの症状が現れます。黄疸が出ることもあります。一般的には数週間で回復しますが、1~2%は死亡率の高い劇症肝炎に進行することもあります。
慢性肝炎:HBVが6か月以上にわたり肝臓に感染することで起こります。自覚症状は軽く、疲れやすい・食欲があまりない程度のため、自身で気づくことはほとんどなく、健康診断や他の病気での血液検査時に発見されることが多いです。適切な健康管理や治療を行わずに放置していると、肝硬変や肝がんに進行することもあるので、注意が必要です。

治療
急性肝炎:通常は点滴での栄養補給などで回復しますが、劇症化する危険性がある場合は抗ウイルス薬を使用することもあります。
慢性肝炎:現在の治療では持続感染した HBVを完全に排除することはできず、抗ウイルス薬を用いてHBVの増殖を抑える治療を行います。また、肝機能の低下を防ぐため、肝臓を保護する薬を用いることもあります。

予防
他人の血液に触れないようにすることが大事です。歯ブラシやかみそりを共有しない・ピアスの穴開けは医療機関で行う・性行為の際はコンドームを使うなどの予防策を取れば、感染のリスクを下げることができます。また、新生児にはB型肝炎ワクチンが定期接種となっており、無料で受けることができます。
HBVに感染しているかどうかは、血液検査で調べることができます。健康診断などで検査できるのであれば、一度受けてみるのがよいでしょう。
そして、検査で感染が分かったり肝機能の数値の異常を指摘されたりした場合は、専門医の診察を受けるようにしましょう。