世界の予防接種状況

皆さんは世界の予防接種状況をご存じでしょうか?
年間 150万人、約 20秒に 1人の子どもたちが、ワクチンがあれば防げる病気で命を奪われています。
ワクチンとは
病原体あるいは細菌が出す毒素の病原性や毒性を弱めたりなくしたりしたものです。
これらを接種しておけば病気にならず、体の中に免疫の記憶を残すことが可能となります。つまり、ワクチンの接種により、あらかじめ免疫の記憶を付けておけば、本当の病原体が体の中に入ってきたときに、すばやく免疫によって体が守られ、病気にかからずにすむというわけです。ワクチンを接種することを予防接種と言います。
また、ワクチンで予防できる病気のことを、 VPD(Vaccine Preventable Diseases)と言います。多くの感染症の中で、 VPDはワクチンで予防するのが現代の感染症対策の基本です。
2019年7月時点の現状
ユニセフ(国連児童基金)とWHO(世界保健機関)が新しく発表したデータによって、世界の子どもの10人に1人にあたる約2,000万人の子どもたちが、はしかやジフテリア、破傷風などから命を守る予防接種を受けられていないことが明らかになりました。
世界では、三種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風混合ワクチン)の3回接種とはしかワクチンの1回目の予防接種率は2010年以降、86%付近で低迷しています。これは高い水準ですが、まだ十分ではありません。
ワクチンで予防可能な病気から子どもたちを守るためには、国や共同体を越えて95%の予防接種率を実現する必要があります。
予防接種を受けていない子どもたちの大半は、最も貧しい国に暮らしており、脆弱な地域あるいは紛争の影響を受ける地域(アフガニスタン、中央アフリカ共和国、イラク、シリアなど)に偏っています。彼らが病気になった場合、深刻な健康への影響が危惧され、救命処置や治療へのアクセスも見込めません。
HPV(ヒトパピローマウイルス)予防接種率に関する初めてのデータ
子宮頸がんから女性を守るHPVワクチンの接種率に関するデータが初めて公開されました。
2018年現在、90ヵ国でHPVワクチンが国の予防接種プログラムの中に導入されています。このうち、低所得国はわずか13ヵ国でした。この事実は、子宮頸がんによって深刻な影響を受ける恐れの高い人々の元へワクチンが満足に届いていないということを意味しています。
ユニセフとWHOは、GAVIアライアンス(ワクチンと予防接種のための世界同盟)といったパートナー団体と協力しながら、すべての子どもたちに定期予防接種を促すほか、緊急キャンペーンを実施し、プライマリ・へルスケアに従事する保健職員を訓練することによって、各国が予防接種システムおよび集団感染への対応を強化することを支援しています。
その他ユニセフ・WHOの取り組み
・2017年、10人中9人の乳幼児が少なくとも一回三種混合ワクチンを受け、これらの命にもかかわる病に対する免疫力を向上させています
・2017年には2010年より460万人多い乳幼児が三種混合ワクチンを三回接種しました
また、これらの取り組みのもと、ユニセフと WHOは世界中の人が必要な予防接種を受けられるように、ワクチン接種率データの質を高め、入手・運用をしやすくしたり、弱い立場に置かれている人々が予防接種のサービスを受けられるように活動しています。
私たちもユニセフ募金や支援ギフトなどを通じて、ワクチンなどの支援物資を途上国の子どもたちに贈ることができます。
ユニセフホームページ参照