首の痛みと頚椎症

*首の痛み*
寝違え…朝起きて首を動かすと痛みが出る、あるいは痛くて動かせないいわゆる「寝違え」。
原因は睡眠中に不自然な姿勢が続き筋肉が緊張していたり、前日に運動などで上肢を使いすぎて首や肩の一部の筋肉がこむら返り状態になっていたりすることが多いといわれています。
痛みを感じる方向には首を無理に動かさないようにしましょう。「寝違え」であれば数時間から数日で徐々に痛みが改善して首が動かせるようになります。
ストレートネック…「スマホ首」とも言われ、本来30~40度のゆるやかな湾曲を保っている頚椎がスマートフォンやパソコンなどを長時間同じ姿勢(前傾姿勢)で使用し続けることで湾曲を失い、まっすぐに近い状態になることをいいます。
ストレートネックになると頭部の重心が前に傾くため、首周りの筋肉疲労による痛みだけでなく肩こりやひどい場合にはしびれがでる場合もあります。予防には正しい姿勢を心がけ、ストレッチを行なって筋肉をほぐすことが大切です。
頚椎症…頚椎症は、年齢とともに頚椎のクッションの役割をしている椎間板が水分を失って弾力性がなくなりヒビが入ったりつぶれたりする老化現象や靭帯が厚く硬くなることで、神経根や脊髄が圧迫されて首や肩甲骨付近の痛み、肩から腕・手にかけて痛みが生じます。
障害される部位によって、頚椎症性脊髄症・頚椎症性神経根症と呼ばれます。
痛みが長引く、強い痛みや首だけでなく腕や手にも痛みやしびれるような症状がある場合は頚椎症に伴う神経障害による痛みの可能性がありますので、整形外科を受診しましょう。
*頚椎症の症状*
頚椎性脊髄症…椎間板の変性が進み、骨がとげ状になったり靭帯が肥厚化することで脊柱管の
脊髄が圧迫され、四肢(両方の手足)に痛みやしびれ運動障害を生じます。
頚椎性神経根症…頚椎の変性により、椎間孔の狭窄が生じ神経根が圧迫されて、主に片側に痛
みやしびれが生じます。
頚部の痛み…首の後ろの部分に痛みが出ます。
しびれ、感覚異常…手にしびれや感覚異常の症状がみられます。
手足の知覚障害…何にも触れていないのに痛みが走るなど、刺激を正常に知覚できない。手先の細かい作業が困難になったり、歩行障害が出たりします。
膀胱直腸障害…頚椎症性脊髄症の場合、排泄に障害が出る場合もあります。
*治療
指先の動作の不具合が進行する場合や歩行困難、排尿障害などの症状が重度の場合を除き、装具療法や薬物療法といった保存療法が選択されます。
装具療法は、頚椎カラーなどを使用して頚部の関節保持や変形の矯正・予防を行います。
薬物療法では、痛み止めとして主に非ステロイド性鎮痛消炎剤が用いられます。しびれなどの神経系の痛みに対して神経障害性疼痛治療薬を用いたり、筋肉の緊張をやわらげる目的で筋弛緩剤なども用いられます。
痛みがコントロールできない場合には、局所麻酔により痛みが神経に伝わるのを妨げる神経ブロック療法を行うこともあります。
これらの保存療法や温熱療法・理学療法などで効果が見られない場合や、進行する頚椎症性脊髄症の場合には外科手術が検討されます。