よく噛むといいこといっぱい

日本人の平均寿命が延びる中、認知症などが増加しており、大きな問題になっています。認知症の原因は様々ですが、咀嚼の減少による脳細胞の減少も原因の一つであることが分かってきました。
よく噛むことで脳細胞が増加
昔に比べると噛む回数・食事時間が減っています。弥生時代では1回の食事で約4000回噛み、約50分も時間をかけて食べていました。時代とともに咀嚼回数が減り、現代では約600回の咀嚼で約10分の食事時間となっています。最近ではファストフードや口当たりのよいやわらかい食物、調理済み食品が好まれ、ビタミンや食物繊維などを咀嚼のいらないサプリメントや飲料で摂る傾向も増えてきました。簡単に食事や栄養が摂れて便利な一方で、噛むことは少なくなったのです。
このような軟食への移行が、脳の認知機能を低下させることが分かってきました。つまり、噛むことで脳の機能は高まるのです。
よく噛むためのポイント
咀嚼を増やすには、「食物繊維」がポイントです。昔と比べると食物繊維の摂取量は減少していて、特に20歳代等の若い世代で不足しがちです。
食物繊維は穀類(玄米など精白されていないもの)・野菜類・海藻類・きのこ類に多く含まれています。これらの食材を使ったおかずを1品プラスしたり、食材を大きめに切ったりして、ゆっくりよく噛んで食べてみましょう。
軟食が必要な高齢者の方にはガムの活用もすすめられています。
噛むことの8つの効果
よく噛むことは脳だけでなく、心や身体にも良い影響があります。
咀嚼回数の多かった弥生時代の女王である卑弥呼の名前を使って噛む8つの効果を日本咀嚼学会が「ひみこのはがいーぜ」という標語にして提案しています。
 肥満予防…よく噛んで食べると脳の満腹中枢が働いて満腹感が得られ、食べすぎによる肥満を防ぎます。
 味覚の発達…よく噛むことで舌の味覚が発達し、食べ物本来のおいしさを味わえます。
 言葉の発音はっきり…噛むことで口周りの筋肉が発達すると歯並びや発音がきれいになったり、表情が豊かになります。認知症予防にもなります。
 脳の発達…咀嚼により脳細胞の働きを活発にし、記憶力アップに繋がります。
 歯の病気予防…よく噛むと唾液分泌が盛んになり、細菌を洗い流す自浄作用で虫歯や歯周病予防になります。
 がん予防…唾液に含まれる酵素に発がん性物質を抑制する作用があります。
いー 胃腸の機能を助ける…よく噛むことで胃や腸で消化されやすくなります。
ぜ 全力投球…よく噛むと集中力が高まり、何事にも全力投球できます。
認知症を防ぎ、健康的に過ごすためにも、よく噛んで食べることを意識してみましょう。