尿路の異常に関わる疾患

尿路は尿の生成と体外への排泄をつかさどる臓器の総称で、腎臓、尿管、膀胱、尿道からなります。腎臓で作られた尿を膀胱に運び、溜め、体外に排出する一連の働きが尿路全体の役割です。
泌尿器科では尿の色・蛋白が含まれていないかをチェックし、顕微鏡で尿を観察して、血尿の程度や他に含まれているもの(白血球、結晶、細菌など)を検査します。
必要に応じて超音波で腎臓、膀胱、前立腺などの形を調べます。CT検査や血液検査、場合によっては膀胱鏡検査などを行います。
血 尿 が 出 る
血尿には目で確認できる肉眼的血尿と、検査で分かる尿潜血とがあります。
膀胱炎など、膀胱の炎症でもみられますが、膀胱がん、尿路結石、腎のう胞、軽症の腎炎などが原因の事もあります。血尿が見られても治療の必要はなく経過観察の場合もあります。経過観察中に腫瘍などの病気がはっきりしてくる場合もあるので医師の指示に従って定期的な通院を続けてください。
頻 尿
膀胱炎の場合にも、排尿時痛や頻尿などの症状が出ることがあります。
神経が膀胱の尿量を感知して脳に伝え、脳から尿道や膀胱の筋肉に「緩めろ」「閉めろ」という命令を伝えるやりとりが、加齢や精神的ストレスによってうまくできなくなる過活動膀胱により頻尿の症状が出ることがあります。
頻尿の検査で膀胱がんや前立腺がん、子宮筋腫等その他の腫瘍が見つかる場合もあります。
膀胱・尿道の病気もなく、また尿量も問題ないにも関わらず、トイレのことが気になって何回もトイレに行ってしまう心因性頻尿もあります。心因性なので、夜寝てしまえば排尿のことを気にすることはなくなるため、通常夜間の頻尿はないことが多く、また朝起床時の排尿量は正常です。
排 尿 障 害
尿が出にくい、途中で途切れる、排尿時に力むといった症状は前立腺肥大でよくみられます。男性の尿道結石の場合も尿閉と言って、下腹部(膀胱)がパンパンになりながら尿が出ないことがあります。
尿路に問題が無くても、子宮がんや大腸がんの手術後膀胱の働きを調整している神経が障害されて尿閉になる場合や飲んでいる薬の影響で尿が出にくくなる場合もあります。
排 尿 痛
排尿時に痛みを起こす最も一般的な病気は女性に多い急性膀胱炎です。男性で排尿時の痛みを起こす病気には、前立腺炎や尿道炎があります。いずれも排尿時の痛み以外に、頻尿、会陰部(陰嚢と肛門の間の部位)や下腹部の不快感や痛みなど多様な症状があります。
尿の出始めに痛む場合は、クラミジア尿道炎、淋菌性尿道炎などの性感染症が原因であることが多いので注意が必要です。その他に、尿道結石、間質性膀胱炎、膀胱や尿道の悪性腫瘍などの特殊な疾患が排尿時痛に関与することもありますので、長期間症状の改善がみられない場合には泌尿器科専門医の受診が推奨されます。