エイズは不治の病ではなく、コントロール可能な病気です

昔は不治の病というイメージがあったエイズ。様々な治療薬が開発されたおかげで、現在では適切な治療によって症状をコントロールしながら、普通の生活を送ることができるようになっています。感染予防のために正しい知識を理解することが重要です。
1.HIVとエイズってなに?
HIV感染者=エイズ患者ではありません。
HIVとは、ヒト免疫不全ウイルスHuman Immunodeficiency Virus)の頭文字を取ったもので、ウイルスの名前です。一方、エイズ(AIDS)とは、後天性免疫不全症候群Acquired Immunodeficiency Syndrome)の略称で、 HIVに感染した人が、免疫能の低下によりに示す23の合併症のいずれかを発症した状態のことをいいます。
HIVに感染していても、この 23疾患のいずれかを発症しない限りはエイズとは言いません。つまり HIVはエイズの原因となるウイルスの名前で、エイズは HIVによって引き起こされる病気の総称です。
2.HIV/エイズは増えているの?
全国における令和2年の HIV感染者及びエイズ患者の新規報告数(確定値)は 1,095件であり、平成 25年にピークを迎えた後、減少傾向となっています。
令和2年の新規 HIV感染者は 750件で前年より 153件減少しました。新規エイズ患者報告数は345件で前年より12件増加しました。
3.感染を防ぐには?
HIVの感染源となるのは、精液・膣分泌液・血液・母乳などです。その主な感染経路は、性行為による感染・血液を介した感染・母子感染の3つです。
感染力が弱いため、日常生活(握手・入浴・缶などの回し飲みなど)ではうつりません。主に前記の3つの感染経路に限られているため、正しい知識を持って予防対策をとることで、 HIV感染のリスクを減らすことができます。
4.感染・発症したら治せるの?
早期の発見・治療で発症を抑えられ、コントロール可能な病気ですが、体の中にある HIVを完全に取り除くことはできません。
医療の進歩によって様々な治療薬が開発されたおかげで、体内にいる HIVの増殖をおさえ、免疫力を維持することが可能になっています。 HIV感染症の治療は3~4種類の抗 HIV薬を組み合わせて内服する多剤併用療法が基本です。最近では、2~3種類の成分が1錠の中に含まれた合剤が多数でており、1日1回1錠内服での治療も可能となっています。
万一、 HIVに感染、またはエイズを発症しても、薬を飲み続けるなど適切な治療を継続することによって、普通の生活を送ることができますし、子どもを安全に出産することも可能です。
ただ、エイズ発症後での治療は、発症前と比べて難しくなるため、HIV感染を早期に発見し、早期治療につなげることが大変重要です。
愛媛では 40歳代の5割、 50歳以上の約8割が発見時に既にエイズを発症していました。「エイズを発病して初めて感染に気づく」ということは、早期治療・発病予防の機会を逃すだけでなく、知らない間に感染を拡大させている可能性があります。
また、早期発見と治療のためにも HIV検査が大事です。全国の保健所などでは匿名・無料で HIV検査や相談ができますので、ぜひ利用してください。