マイコプラズマ肺炎とは

マイコプラズマ肺炎は、「肺炎マイコプラズマ」という細菌に感染することによって起こる呼吸器感染症です。子どもの感染が多く、約 80%は 14歳以下の患者ですが、成人でも感染が見られます。
マイコプラズマ肺炎は、かつてはオリンピック開催の年と重なって4年周期で流行がみられたため「オリンピック肺炎」と呼ばれていました。
1990年代以降は周期的な大きな流行は確認されていませんが、 2000年以降は徐々に定点当たりの患者報告数が増加傾向にあります。
感 染 経 路 ・ 潜 伏 期 間
感染経路は風邪やインフルエンザと同じように、患者の咳のしぶきを吸い込んだり、患者と身近で接触したりすることにより感染すると言われています。
家庭のほか、学校などの施設内でも感染がみられます。感染してから発症するまでの潜伏期間は長く、2~3週間くらいとされています。
症 状
発熱や全身のだるさ、頭痛、痰を伴わない咳などの症状がみられます。咳は少し遅れて始まることもあります。咳は熱が下がった後も長期にわたって(3~4週間)続くのが特徴です。
多くの人はマイコプラズマに感染しても気管支炎ですみ軽い症状が続きますが、一部の人は肺炎となって重症化することもあります。一般に小児の方が軽くすむと言われています。
診 断
マイコプラズマは風邪や気管支炎、肺炎を起こす他のウイルスや細菌と症状が似ており区別が難しいため、迅速診断キットを用いて判断します。 
RSウイルスやインフルエンザウイルスでもなく、咳が中心の風邪症状であれば、マイコプラズマを疑い検査します。マイコプラズマの迅速検査は、検査の材料をのどから綿棒でぬぐい取るだけで簡単に行うことが可能で、検査の結果も15分くらいで分かります。
聴診しても肺炎を疑う音に乏しいため、肺炎かどうかは胸部X線で診断する場合もあります。
治 療
治療にはマクロライド系の抗生物質(エリスロマイシン、クラリスロマイシンなど)が使用されます。しかし近年これらの抗生物質が効かない「マクロライド耐性肺炎マイコプラズマ」が増加傾向にあると報告されており、その場合はテトラサイクリン系やニューキノロン系など他の種類の抗生物質で治療します。
軽症ですむ人が多いですが、重症化した場合には入院して専門的な治療が行われます。
予 防
マイコプラズマ肺炎にワクチンはありません。感染している人との接触をなるべく避けることが大切です。人ごみや咳をしている人がいるところへの外出を控える、症状のある人には別室で過ごすなどしてもらいます。また手洗い・うがいやマスク着用などの基本的な行動も重要な予防法です。