敗血症について

昨年ある有名人が敗血症のため亡くなったと報道されました。
あまりなじみのない病名ですが、最近入院患者さんなどでは増えているようなので基本的な事は知っておきましょう。
①敗血症とは
なんらかの感染症を起こしている細菌などが増殖して炎症が全身に広がり、重大な臓器障害が起き、重篤になっている状態をいいます。
敗血症を引き起こした原因を見つけ治療を早期に開始しなければ、命に関わる危険もあります。
②原因
どんな感染症でも敗血症を起こす引き金になる可能性がありますが、原因となる細菌として主なものに、
連鎖球菌、ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌などがあります。
また細菌感染だけでなくウイルスやカビなどの真菌、寄生虫などによる感染症も原因となることがあります。
一般的には、肺炎、尿路感染症が原因のことが多く、他に腸管感染症、血流感染症などがあります。
男性は肺炎などの呼吸器感染症、女性は尿路感染症などの泌尿器感染症が原因となることが多いようです。
③症状
障害が起きている臓器によって様々な症状が出ます。
初期には
悪寒、発熱、高熱に伴う震え、発汗など
症状が進行すると
心拍数や呼吸数の増加、血圧低下、排尿困難、意識障害など
重症では
腎不全、肝不全などの臓器不全、皮下出血がある時は、DIC(播種性血管内凝固症候群)の可能性があります。
④治療
感染症の原因となっている病原体を特定し、対応した薬剤を投与し治療します。
細菌が原因なら抗菌薬、ウイルスが原因なら抗ウイルス薬、真菌なら抗真菌薬、寄生虫の時は寄生虫薬を使用します。
外科的治療が必要な時もあります。
症状が進行している場合には原因菌が特定できる前から薬剤の投与を行う必要がありますが、耐性のある薬剤もあり注意が必要です。
人工透析や血糖を下げるためのインスリン注射を行う事もあります。
⑤予防
免疫力の低い乳幼児や高齢者、慢性疾患やがんなどの病気治療で免疫機能が低下している人は、
まず敗血症の原因となる感染症を起こさないことが重要です。
基本的な事ですが、手洗い、うがいを励行し、風邪などの感染症にかからないように気をつけましょう。
またインフルエンザやコロナワクチン、肺炎球菌ワクチン、帯状疱疹ワクチンなど
感染症予防のためのワクチン接種は敗血症予防につながります。
⑥免疫力を高めるために
私たちの周りには常にウイルスや細菌などが溢れていて、感染症などを起こす危険があります。
これらから身を守るためには、身体の防御システム(免疫力)を高める事が大切です。
免疫が正常に機能するには、自律神経がバランス良く働く事が大切です。
そのためには
                ・身体を動かす
                ・バランスの良い食事
                ・ぐっすり眠る
                ・よく笑う
                ・身体を温める
                ・リラックスできる時間を作る
などに気をつけることが大切です。