とびひ(伝染性膿痂疹)

とびひには、黄色ブドウ球菌が原因の水疱性膿痂疹と、 A群 β溶血性連鎖球菌が原因の痂皮性膿痂疹があります。これらは人の身体に普通に存在している菌のため、誰でもとびひにかかる可能性があります。
水疱性膿痂疹では、かゆみを伴う水疱や膿疱が現れます。夏に多く、乳幼児や小児に多くみられる病気です。
痂皮性膿痂疹では、膿疱が破れた後に厚いかさぶたが形成されます。痛みをともなうことが多く、子供よりも大人がかかりやすいといわれています。重症化すると、毒素が全身に回って全身の肌が赤くなります。まれに、糸球体腎炎という病気を合併し、腎機能が低下して血尿やタンパク尿がみられるようになります。
とびひの治療
水疱性膿痂疹の場合、原因となる黄色ブドウ球菌に有効とされる抗生物質を使用します。
軽度の場合は抗生物質の外用薬だけで治療します。水疱や膿疱に含まれる液体を取り除き、外用薬を塗ってからガーゼで覆う治療を行います。清潔を保つことが重要であるため、ガーゼは1日に数回交換する必要があります。この治療で良くならない場合や水疱や膿疱が広範囲に広がっている場合、抗生物質を内服します。
痂皮性膿痂疹の原因菌は A群 β溶血性連鎖球菌ですが、黄色ブドウ球菌にも感染していることがあるので、これら2つの細菌に対して有効とされる薬を使用します。単独の場合も7~ 10日かけて内服しますが、3日程度で効果が現れはじめるといわれています。
とびひの予防、対策方法
とびひを予防するために、肌を清潔に保つことを心がけましょう。
とびひになっても入浴して構いません。ただし、発熱などの全身症状が現れている場合は医師の指示に従いましょう。入浴時は、しっかりと泡立てた石けんで患部をやさしく洗いましょう。湯船に浸かっても構いませんが、家族にうつしてしまう可能性があるので、最後に入ることをおすすめします。入浴後は、患部に外用薬を塗り、ガーゼで保護しましょう。また、鼻の入り口に黄色ブドウ球菌などが常在しているため、鼻に指を入れないように注意が必要です。そして、手洗いを徹底させ、爪は短く切りましょう。集団生活の場では、感染予防のため病巣を有効な方法で覆うなどの注意が必要です。
ワクチンはありません。
登校(園)の基準
とびひは、学校保健安全法施行規則で「その他の感染症」に分類されています。出席停止の必要はありませんが、黄色ブドウ球菌をうつす可能性があるため、出席するのであればガーゼなどで患部を保護しておくことが大切です。
全身に水疱が広がっている場合、それらをすべてガーゼで保護することは難しいので、現実的には出席は困難かもしれません。
医師と相談して決めましょう。