新型コロナなどの感染症に解熱鎮痛剤は使っても大丈夫?

解熱鎮痛剤 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)とは
NSAIDsとは、広義にはステロイドではない抗炎症薬すべての総称です。
代表的なものにロキソプロフェン、イブプロフェン、アスピリン、ジクロフェナクなどがあり、熱ざましや痛み止めとしてよく使われます。
コロナウイルス感染時はNSAIDsはダメ??
デンマークのデータでは、コロナ患者においてNSAIDs使用者は非使用者と比べても特に死亡率、入院リスク、ICU入室リスクなどは変わらなかったという結果でした。
EMA(欧州医薬品庁)やWHOもNSAIDsは必要時には使用を避けるべきではないと結論づけていますが、重症感染症にNSAIDsを使うと死亡率が高くなるなど、新型コロナに限らず感染症全般に関してNSAIDsの使用について否定的な報告が多くあります
コロナ感染の解熱剤としては、アセトアミノフェンの使用が推奨されています。
風邪薬はアセトアミノフェンがおすすめ
また、インフルエンザでのNSAIDsの使用で問題となるのが、日本で小児に報告が多いインフルエンザ脳症です。インフルエンザ脳症の原因は解明されていませんが、ウイルスから体を守るために戦う「免疫回路」にインフルエンザウイルスが大きなダメージを与えるという説があります。
この免疫を調整している物質を「サイトカイン」といいます。普段はこのサイトカインが免疫の働きを調整することによって病気が治っていきます。
インフルエンザ脳症はインフルエンザウイルスの影響で、このサイトカインの働きが過剰(サイトカインストーム)になり起こると言われています。なぜ過剰反応が起きてしまうかなどの詳しい事はまだはっきりと解明されていません。
解熱剤を使用していなくてもインフルエンザ脳症になる方もいます。
「解熱剤が原因でインフルエンザ脳炎になる」というのではなく、インフルエンザウイルスに感染中に解熱剤を使うことによって脳症になる確率が上がると考えられています。
NSAIDs使用は脳症を重症化させやすい傾向がみられるため、15歳未満の小児のインフルエンザの際に使用する解熱剤はアセトアミノフェンとされています。
NSAIDsの使用で心臓発作?
最近、風邪・インフルエンザに、イブプロフェンやロキソプロフェンなどのNSAIDsを使用すると心臓発作のリスクが3~4倍高まると海外からの報告がありました。
以前から、アスピリンを除くNSAIDsの連用による心臓発作や脳卒中のリスク増加が米国FDAから警告されています。また妊婦の方へは、先天奇形、動脈管収縮が報告されているので原則使用しません。
NSAIDsには胃腸障害や腎障害を起こす、喘息を誘発するといった副作用があるので注意が必要です。インフルエンザや普通の風邪であっても解熱のためにNSAIDsを服用するのはあまりお勧めしません。高熱でつらい時には、作用が穏やかで比較的安全なアセトアミノフェンをお勧めします。NSAIDsは多くの解熱鎮痛剤や風邪薬の中にも使われています。
どれがアセトアミノフェン成分の風邪薬かわかりにくい場合は薬剤師に相談しましょう。