健康診断の検査結果からわかること No.5

子宮頸がん
●検査の行い方
子宮頸がんは、膣に続く子宮頸部にできるがんです。一般に、子宮頸がんのスクリーニング(ふるい分け)検査として、子宮頸部細胞診が行われています。子宮頸部の粘膜をヘラやブラシのような器具でこすって細胞を採取し、それを顕微鏡で調べます。20歳以上の女性には2年に1回この検査を受けることが勧められています。
●精密検査が必要といわれたら?
細胞診の結果、「陰性(異常なし)」以外は、判定に応じた精密検査が必要になります。子宮頸がんの多くは、性交渉の際に粘膜についた傷からヒトパピローマウイルス(HPV)が感染して起こります。そのため、細胞診の結果、軽度の異常が疑われる場合には、まずHPV検査を受けて感染の有無を確認することが勧められています。また、高度な異常が疑われた場合は、内視鏡で子宮頸部の粘膜表面を観察するコルポスコピー検査や、その際に疑わしい部分の組織を少量採取して顕微鏡で調べる生検(組織診)を行って詳しく調べて判定することになります。
乳がん
●検査の行い方
国のがん対策としての乳がん検診では、医師による視触診に加え、40歳以上の人に2年に1回のマンモグラフィを併せて行うことが勧められています。マンモグラフィは、専用の器具で乳房をはさんでエックス線撮影を行います。
●検診を受ければ乳がんは早期発見できる?
マンモグラフィ検診により、早期のがんが見つかりやすくなりました。ただし、若い人に多い乳腺の密度が高い乳房では、全体が白っぽく写って、小さい病変を見つけにくいことがあります。
●精密検査が必要といわれたら?
異常所見があれば、専門医を受診して超音波検査など精密検査を行います。乳がんの多くはマンモグラフィや超音波検査などの画像診断でほぼわかりますが、良性か悪性かの区別がつかない場合や、がんが疑われる場合は、しこりに細い針を刺して細胞を注射器で吸い取る細胞診や、より太い針を刺して細胞を塊で採る生検による確定診断が必要になります。
前立腺がん
●検査の行い方
前立腺がんのスクリーニング検査として最も有効とされるのが、PSA(前立腺特異抗原)の検査です。腕から採血するだけで簡単に測定でき、その値から前立腺がんの可能性をチェックします。
●PSA値で前立腺がんはどこまでわかる?
PSAは前立腺でつくられるたんぱくで、基本的に前立腺の異常だけに鋭敏に反応します。健康でも多少は分泌されていますが、前立腺にがんが生じると血液中に多量に放出されるようになり、血中濃度が上がります。ただし、PSAの値は加齢とともに上昇し、前立腺肥大症や前立腺炎などでも高くなります。そのため、PSA値が高いからといって、必ずしも前立腺がんとは限りません。検診では一般に、PSA値が4.0ng/mL以下が基準値範囲とされ、超えていれば精密検査を勧められます。一般にPSA値が10ng/mLほどになるとがんの疑いが出てきて、値が高いほどがんの可能性も高くなります。
●精密検査が必要といわれたら?
泌尿器科を受診して再度PSAを調べ、直腸指診や腹部エコー(腹部超音波検査)など精密検査を行います。こうした検査から前立腺がんが疑われた場合は、前立腺に針を刺して組織を採取し、顕微鏡でがん細胞の有無を調べる生検を行って確定診断をします。