健康寿命~慢性腎臓病(CKD)を防ぐ~

  腎臓といえば、尿をつくる場所ですが、悪くすると心筋梗塞、脳卒中、突然死につながるリスクが上がると言われています。腎臓はよほど悪くならない限り悲鳴を上げない「沈黙の臓器」であるために自覚症状がないまま悪化し、だるさ、めまい、むくみが出る頃には症状が進んでいて、透析が必要になる場合もあります。
  このように腎機能の低下があるか、もしくは腎臓の障害がある状態を慢性腎臓病(CKD)と言います。
腎臓の働き
1.老廃物を体から排出する!
  腎臓は血液を濾過して老廃物や余分な塩分を尿として体の外へ排出したり、体に必要なものは再吸収し、体内に留める働きをしています。
→悪くなると尿が出なくなり、老廃物などが体に蓄積し、尿毒症になるおそれがあります。
2.血圧を調整する!
  腎臓は、塩分と水分の排出量をコントロールすることによって血圧を調整しています。また、腎臓は血圧を維持するホルモンを分泌し、血圧が低いときに血圧を上げます。
腎臓と血圧は密接に関係し、腎臓の働きの低下によって高血圧になることもあります。また、高血圧症は腎臓に負担をかけ、腎臓の働きを悪化させることもあります。
3.血液をつくる司令官!
  血液(赤血球)は骨髄の中にある細胞が、腎臓から出るホルモン(エリスロポエチン)の刺激を受けて作られます。
→悪くなると、このホルモンが出にくくなるため、血液が十分に作れず貧血になることがあります。
4.体液量・イオンバランスを調整する!
  腎臓は体内の体液量やイオンバランスを調節し、体に必要なミネラルを体内に取り込む役割も担っています。
→悪くなると体のむくみ、疲れやめまいなど、体にさまざまな不調が現れることがあります。
5.強い骨をつくる!
  骨の発育には複数の臓器が関わっています。
その中でも腎臓は、カルシウムを体内に吸収させるのに必要な活性型ビタミンDをつくっています。
→悪くなると活性型ビタミンDが低下し、カルシウムが吸収されなくなって骨が弱くなるなどの症状が出てくるおそれがあります。
慢性腎臓病(CKD)予防対策
  肥満、運動不足、飲酒、喫煙、塩分のとり過ぎ、ストレスなどの生活習慣は、CKDの発症に大きく関与しているといわれています。また、メタボリックシンドロームでも、CKDの発症率が高まることが分かっています。そのために、まずは生活習慣の改善が重要です。
  高血圧や糖尿病などの生活習慣病がある人は、医療機関を受診してきちんと治療をしておくことも大切です。また、健診受診時に、①尿たんぱくが(+)以上、かつeGFR値が60未満の方で、腎機能関係の疾病が未治療の方は一度医療機関の受診をお勧めします。
※「eGFR値」とは、血液中のクレアチニン値に年齢・性別の条件を加味し推計された値であり、「60未満」で腎臓の機能の低下が疑われます。
実は、人体のネットワークの指令塔の役割を果たしている腎臓、寿命を決めるとさえ言われています。
予防対策・早期発見・早期治療が健康長寿のカギとなるので、腎臓を大切にしましょう。