働く世代の健康~睡眠~

睡眠の仕組み
睡眠は大きく分けて、「脳が疲れると眠くなる」仕組みと「体内時計の針が夜の時間帯に入ると眠くなる」仕組みによって起こります。
脳が翌日にも存分に働くためには、十分休んで疲れをしっかり取る必要があり、眠ることで脳の温度を下げて“オーバーヒート ”を防いでいます。
ただし、疲れがたまっていなくても、夜になると自然に眠たくなります。これは、「体内時計」の働きによるものです。
体内時計とは?
体内時計は、さまざまな臓器にあることがわかっていますが、その中枢は脳にあります。
体内時計は睡眠と覚醒だけではなく、体温や血圧、脈拍、ホルモンの分泌などにも影響します。朝から昼には、体温、血圧、脈拍などを高めて活動しやすくし、夕方から夜にはこれらを徐々に下げていくことで休息に適した状態に切り替わります。
このように、体内時計は身体のさまざまな機能の日内変動をつくり出しています。
体内時計には調節が必要
人間の体内時計は、 24時間より少し長めの周期でリズムを刻んでいます。このずれを調整して、体内時計が1日 24時間のリズムを刻むには、「同調因子」と呼ばれる“刺激 ”によって調整する必要があります。
同調因子には、さまざまなものがありますが、最も大きな影響を与えるのが「光」です。毎朝、起床後に光が目に入ることで体内時計がリセットされ、そこから体は活動に適した状態に切り替わります。
眠りに導く生活習慣
・光
夜になかなか寝つけなかったり、朝にすっきり起きられなかったりする方は、朝起きたらすぐに光を浴びましょう。カーテンを少し開けて眠るのもよいでしょう。
夜は間接照明などに切り替えるなど、照明が明るいところでは過ごさず、テレビやパソコンの画面は離れて見ましょう。特に、画面を間近で見るスマホは要注意です。寝る2時間前からはスマホを見ないよう寝床から遠ざける、夜は画面の明るさを暗めに設定するなど工夫しましょう。
・運動
体温が夕方から夜にかけて急激に下がるほど、寝つきがよくなります。体温の下がり方のカーブを急にするためには、下がり始める前に体温をより高め、落差を大きくするのがポイントです。
そのためには運動が有効で、特に寝る4~6時間前に行うとよいでしょう。ウォーキングなどの軽めの運動を習慣的に続けることが大切です。
・入浴
入浴が快眠をもたらす効果は2つあります。1つはリラックス効果で、交感神経が優位な状態から副交感神経が優位な状態へスムーズに移行し、自然な眠気がもたらされます。
もう 1つは、体温変化に対する効果です。入浴すると運動と同じように体温を引き上げることができるので、体温が下がるときのカーブが急になり、スムーズな眠りに導かれます。寝る2~3時間前、ぬるめのお湯にゆっくりつかりましょう。
・そのほかの工夫
コーヒーやお茶、チョコレートや栄養ドリンクなどに含まれる「カフェイン」には、覚醒作用や利尿作用があります。カフェインに敏感な人は、寝る5~6時間前から控えましょう。
また、寝る前にお酒を飲むと、睡眠の質を大きく下げます。「寝酒」に頼らないようにしましょう。