股関節の痛み

股関節は、両脚の付け根にあり、骨盤と大腿骨(こつ) を連結している関節です。
骨頭(こっとう) という先端が丸くなっている骨が骨盤側で受け皿になる寛骨臼(かんこつきゅう) というくぼみに収まっています。
歩く時、股関節には体重の3.4倍の負荷がかかりますが、全体が筋肉や腱などで覆われていて、この力を支え安定性を保つことができます。
股関節に痛みがある時には、原因として次の様な疾患が考えられます。
変形性股関節症
●原因
加齢以外に、先天性の股関節脱臼や先天性臼蓋(きゅうがい)形成不全などが原因の事もあります。
●症状
関節の痛み、関節を動かしづらい、両足の長さの違い、歩きにくいなど
●治療
保存療法と手術療法があります。
[保存療法] 薬物療法、運動療法、装具療法、温熱療法など
[手術療法] 症状が軽くても病気の進行が予測される場合には手術を行う事もあります。関節鏡視下手術や骨切り術・棚形成術、人工股関節置換術などがあります。痛みが強く歩けない、動けない、痛みで眠れない時や、薬が効かない場合などは、手術を受けるかどうか、どの手術が適しているかなど医師と相談しましょう。
●予防
普段から適度な運動を心がけることや、食事を改善し体重コントロールに気をつけることが大事です。また杖を使用することで歩行が楽になることもあります。
大腿骨頸部骨折
大腿骨頸部は、大腿骨の骨盤側の先端(骨頭)に続く部分で、湾曲していて他からの力が加わりやすく、加齢などによる骨粗鬆症が原因で骨がもろくなっていると、軽く転んだりひねったりしただけで骨折してしまうことがあります。
●治療
基本的に手術となります。
大腿骨骨頭壊死
大腿骨の股関節側(骨頭)の血流が途絶えて壊死した状態で、修復力がないため、骨がつぶれて痛みが出ることがあります。
●原因
外傷、放射線治療や多量長期間の飲酒、ステロイドの大量使用の他、原因不明の事もあります。
●治療
薬剤による改善は見込めず、手術となります。
関節リウマチ
最初は手足の指などの小さな関節に多く起こりますが、経過が長くなるにつれ、股関節などの大きな関節にも炎症が起こり、痛みが出ることがあります。
●原因
免疫の異常により起こる病気で、自分自身の細胞や身体を攻撃することで関節内の炎症を引き起こします。
免疫異常の原因は、まだ完全にはわかっていませんが、遺伝的要因、喫煙、歯周病などとの関連が指摘されています。
●治療
[薬物療法] 非ステロイド系抗炎症剤、副腎皮質ホルモン(ステロイド)、抗リウマチ薬(DMARDs)など
[手術療法]
[リハビリ]
股関節に痛みを感じても、「坐骨神経痛」「腰椎椎間板ヘルニア」「鼠径ヘルニア」など股関節以外が原因のこともあります。
自己診断せず、まずは専門医を受診しましょう。