高齢者の安全な運転を支えるために

高齢運転者による交通事故がたびたび報道され、大きな社会問題となっています。
高齢化に伴い高齢者の免許保有数も増えています。車を運転することは被害者にも加害者にもなりうるため、決して他人事とは思えません。
高齢者の運転事故の要因
高齢運転者による死亡事故の原因は、ハンドル操作の誤りやブレーキとアクセルの踏み間違いなど「操作の誤り」が一番多く、脇見など「前方不注意」や後方をよく見ないなど「安全不確認」が続きます。認知機能の低下が原因とみられる事故も少なくないようです。
認知機能の低下や認知症だけが問題なのではありません。
個人差はありますが、加齢に伴い視力や聴力の低下や反応時間の遅れなど身体機能の変化により、危険の発見や対応が遅れがちになることもあります。
加齢に伴う変化を理解した上で、正しいルールと技能を再確認し、慎重な運転を心がける必要があります。
高齢者の運転免許更新の手続き
2017年から道路交通法が改正され、70歳以上の方に「高齢者講習」、75歳以上の方には併せて「認知機能検査」が免許更新時に義務づけられています。認知機能検査は、記憶力や判断力等の認知機能を簡易な手法で調べる検査で、結果によっては免許が取り消されることもあります。
運転免許自主返納制度
運転をしなくなった方や、運転に不安を感じるようになった方、周囲から運転が心配と言われている方などが、自主的に運転免許証を返納することができる制度で、自主返納する人の数は年々増加しています。
希望により免許証代わりに身分証明書として利用できる「運転経歴証明書」が交付されます。
自治体により対応は異なりますが、食事代やホテルの宿泊費の割引などのサービスが受けられます。
高齢者は運転をやめた方がいいの?
「高齢になって自動車の運転をやめた人は、運転を続けた人に比べて要介護となるリスクが約2倍高くなる」という調査結果も発表されています。運転をやめたことで外出しづらくなり、活動的な生活が送れなくなったことから要介護のリスクが高まったのではと考えられます。
将来的には、運転しなくても生活のできる街づくりが望まれます。
運転をやめることによる生活や健康への影響もあり、強引に免許を返納させることはあまりお勧めできません。
免許返納を考える場合、本人も家族も納得したうえで運転を卒業し、新しい生活の質も極力下げないようにするためにはどういった支援ができるのかを一緒に考えることが大切です。
買い物に関しては、生協などの宅配を利用したり、車の代わりとしてはバスやタクシーが利用できます。車の維持費や保険代などと比較して、買い物や通院にタクシーを使うとどのくらいの差になるのかを計算してみるのもいいかもしれません。
また、家族や介護者が自主返納を望み、本人への説得が必要な場合は、主治医からの助言やお近くの警察署の安全運転相談窓口などに相談してみましょう。
年齢を重ね運転が難しくなる日は必ず来ます。
「いざその時」になって困らないように、早くから家族間で話題にしてみてください。