甲状腺の病気

甲状腺の主な病気としてバセドウ病、橋本病、甲状腺がんなどがあります。耳にしたことはあるけど、ピンと来ないという方も多いのではないでしょうか?注意すべき症状など知っておきたい基礎知識をお伝えします。
甲状腺の役割
甲状腺は、首の喉仏の下にあり、蝶が羽を広げたような形をしている重さ15g程度の小さな臓器です。通常は触っても確認できませんが、腫れやしこりがあると手で触れるようになります。
甲状腺は、食べ物に含まれるヨウ素(ヨード)を材料にして甲状腺ホルモンをつくり、分泌、保存する働きをしています。食事で摂取した炭水化物、脂肪、たんぱく質は代謝され、体の組織を作る材料や体を動かすエネルギー源として利用されます。甲状腺ホルモンにはこのような新陳代謝の過程を刺激し、促進する作用があります。また、胎児の発育や子どもの成長にも重要な役割を持っています。
ホルモン分泌の過剰、不足による影響
ホルモンの分泌は、多すぎても少なすぎても体に不調が現れます。
・甲状腺ホルモンの分泌が多いと
汗をたくさんかく、脈拍数が多く動悸がする、手足が震える、食べているのに痩せる、イライラする、下痢をしやすくなるなどの症状がみられます。
・甲状腺ホルモンの分泌が少ないと
眠気を感じる、身体が冷える、脈拍数が少ない、食欲がないのに太る、気力がない、便秘がちなどの症状があらわれます。
どちらにも共通する症状としては、だるさを感じる、疲れやすい、髪の毛が抜ける、甲状腺 が腫れるなどがあります。
甲状腺の病気は女性に多いのですが、これらの症状を見てもわかるように、更年期障害や体調不良による症状に似ているので、発見が遅れたり、気づかないまま過ごしていたりする方も多いです。
どんな検査をするの?
症状に心当たりがある場合は、まずかかりつけの医師に相談しましょう。甲状腺の形や働きの異常が疑われる場合は、甲状腺に詳しい医師のいる病院を紹介してもらい検査を受けてください。血液検査とエコー検査を行います。
血液検査:甲状腺ホルモンや抗体などを調べ、甲状腺機能の働きや疾患の種類を診断します。
エコー検査:甲状腺に腫れやしこりが疑われた場合、超音波を当てて腫瘍の有無や位置、大きさ、性質を確認します。
治療は?
甲状腺の機能が亢進する病気としては「バセドウ病」、甲状腺機能が低下する病気としては「橋本病」が広く知られています。
 甲状腺ホルモンの生合成を抑制する作用をもつ抗甲状腺薬や、甲状腺ホルモンを補充する合成の甲状腺ホルモン薬を用います。定期的に検査をし、量の調節をしながら治療を行います。
きちんと検査を受けて治療をすれば、支障なく日常生活を送れる病気です。まずは正しい知識を持って、早期発見・治療につなげましょう。