心のお手入れ 忘れていませんか

人生100年時代に突入した現代において、私たちを取り巻く環境は大きく変化しています。
その変化に伴いストレスの原因も多様化しています。
ストレスがたまったまま解消されずにいると、頭痛やうつ病、自律神経失調症、高血圧などさまざまな病気になることがあります。
日本人の平均寿命が延び、高齢化が進む中、高齢者にとってこころの健康を保つことは大きな課題となっています。

 

加齢に伴うストレス

心理的要因:退職、配偶者の死、子どもの独立、経済的問題などの喪失体験
身体的要因:身体的な衰え、視覚や聴覚などの感覚機能の低下に伴う孤独感や疎外感、「お世話されること」の劣等感
生物学的要因:脳の萎縮による記憶力、判断力の低下から物事に対し的確な判断ができなくなるなど、日常生活への影響
社会文化的要因:人間関係や、精神的な病気などに対する偏見

高齢になると、悩みや不調があっても我慢してしまう傾向があります。
ストレスは私たちが生きていく上で避けることができないものですが、対処しないままでいると、こころや身体の健康に悪い影響を与える可能性があります。
高齢者にとって特に注意が必要なストレス関連疾患として、老年期うつ病があります。
老年期うつ病は高齢者本人も周囲の人も発症に気づかないことが多く、また認知症とも間違われやすいため見落とされることもあります。

 

高齢者のうつ病の特徴

●身体的な症状が強い

心の不調よりも、頭痛、吐き気、肩こり、関節痛、耳鳴り、不眠など、身体のトラブルが強く現れます。他の病気によっても起こりうる症状がほとんどなので判断が困難です。

●不安や焦燥感が強い

さまざまな心配事やストレスからくる不安・焦燥感から落ち着きがなくなり、イライラしたり、じっとしていられず動き回ったり、おしゃべりになったりします。

●意欲や集中力の低下

反応が鈍くぼんやりしていることが長くなります。疲れやすくなったり、これまで楽しんでいた趣味などにも関心を示さないなど、興味や喜びの感情が乏しくなります。

上記のような症状はうつ病のサインかもしれません。かかりつけ医か、専門の医療機関等に相談するようにしましょう。
 

高齢者のストレスの対処法

・会話・コミュニケーションを楽しむ

友人や家族に話を聞いてもらうことは、不安な気持ちを落ち着かせ、安心感を得る効果があります。
話すうちに、自分自身悩んでいたことが整理され、気持ちが楽になるということもあるでしょう。
悩みやストレスをひとりで抱えこまないためにも、普段から相談できる相手を持つことは大切です。

・趣味や運動を楽しむ

会話や趣味を楽しめる仲間を持ったり、スポーツなどをして身体を動かすことはストレス解消に繋がります。

・たくさん笑う

「笑うこと」によってストレスのレベルが下がり、リラックス効果があり、免疫力が向上すると言われています。笑う機会を意識的に増やしてみるのもよいでしょう。

・人生に目標を持って楽しむ

どんな小さな目標であっても、目指すものがあれば私たちは前向きな気持ちで過ごすことができるものです。
無理のない範囲で自分がやりたい目標を持つことが大切です。

 
健康は、単に病気に罹っていないということだけでなく、精神的に健康であることも含まれます。
病は気から、心の健康寿命をのばして、健康長寿を目指しませんか。