「肥満症」とは? ~実は「内臓脂肪」が溜まりやすい日本人

肥満かどうかの判断基準には、次のようなBMIが用いられます。

BMI(kg/㎡)=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

▼BMIと肥満度分類(日本)

糖尿病や高血圧などを合併したり、内臓脂肪がたまりすぎたりしている場合に「肥満症」と診断され、治療が必要となります。
肥満症は、医学的に減量が必要な状態です。

肥満が引き起こす病気は様々で、次のようなものが挙げられます。

糖尿病、高血圧、脂質異常症、腎臓病、高尿酸血症・痛風、狭心症・心筋梗塞、非アルコール性脂肪性肝疾患、脳梗塞、月経異常・不妊、睡眠時無呼吸症候群、ひざ・股関節・背骨・手指関節の障害

脂肪には、体温の保持やエネルギー源の貯蔵などの役割がありますが、たまりすぎると病気の原因となります。

中でも最も病気につながりやすいのが「内臓脂肪」です。
実は、日本人を含め東アジア人は、食べ物から摂取したエネルギーを皮下脂肪よりも内臓脂肪としてためやすいことがわかっています。

内臓脂肪が増えるとどうなる?内臓脂肪が増えるとどうなる?

内臓脂肪がたまりすぎると、糖尿病や高血圧を起こしやすくなるだけでなく、血栓もできやすくなります。
動脈硬化も進行すると、心臓や脳の血管が詰まって、心筋梗塞脳梗塞を引き起こしやすくなります。

また、肥満はがんの発症とも関係していることがわかってきています。
内臓脂肪が増えすぎることで、細胞の増殖を抑える働きがある生理活性物質の分泌が減ると、
がん細胞が増殖し、がんを発症するリスクが高まると考えられています。

他にも、内臓脂肪が多いと、認知症につながりやすいこともわかってきています。

皮下脂肪が増えるとどうなる?皮下脂肪が増えるとどうなる?

皮下脂肪のたまりすぎは、放置していると体重による負担が原因で、ひざ・股関節・背骨などの障害を起こしやすくなります。
また、睡眠時無呼吸症候群を起こすこともあります。
女性の場合、痩せ過ぎだけでなく極端な皮下脂肪型肥満は女性ホルモンに影響し、
月経異常不妊になりやすいことがわかっています。

異所性脂肪が増えるとどうなる?異所性脂肪が増えるとどうなる?

異所性脂肪は、肝臓にたまると非アルコール性脂肪性肝疾患が起こりやすく、進行すると肝硬変肝がんを起こすことがあります。
筋肉や膵臓にたまると、糖尿病になりやすくなります。

内臓脂肪と異所性脂肪は、たまりやすいけど、減りやすいという特徴があります。
3~6か月で体重の3%程度(80㎏の人で2.4㎏、65㎏の人で約2㎏)減らすだけでも、
血圧・血糖・コレステロールなどの値が改善することがわかりました。
ただし、高度肥満症(BMI35以上)では5~10%減量が目標となります。

普段の食事や運動を見直して、少しずつ、減量してみませんか?