ネットゲーム依存

ネットゲーム依存

スマートフォンの普及とともに、スマートフォンやパソコン・ゲーム機をオンラインで接続してプレイするネットゲームも広く人気がでています。
複数人でチームを組んでゲームを進めたり、無料でプレイできるネットゲームも多くあります。
しかし、中にはネットゲームに熱中するあまり学校や仕事に行かなくなる、ゲーム内で多額の課金を繰り返し経済的トラブルを抱えるなど日常の社会生活に支障をきたす人々も増加しています。
韓国では長時間ネットゲームに没頭した結果、エコノミークラス症候群で死亡した例も報告されています。

こうした深刻化するネットゲームへの依存に対し、世界保健機関(WHO)は2018年6月に公表を予定する最新版の国際疾病分類(ICD-11)で「Gaming disorder(ゲーム症・障害)」を新たに盛り込む方針を明らかにしました。

<ゲーム症・障害の定義>
・他の興味や日常活動よりも、ゲームを優先させる
・ゲームをする衝動を止められない
・問題が起きているにもかかわらず、ゲームを続けたり、プレイ時間を増やしたりする
・個人や家族、社会、学習、仕事などに重大な問題が生じている
(ICD-11最終草案より)

診断にはこれらの具体的な症状が「最低12か月」の継続期間が必要ですが、幼少期は特に進行が早いとして、これらの症状全てがあてはまり、重症であれば短い期間でも依存症とみなす方針です。

このゲーム症・障害を盛り込むICD草案に対してゲーム業界からは批判も出ていますが、これまで統一された定義や国際的な統計がなかったゲーム・SNSを含むネット依存に対して治療や予防面での対策が前進することが期待されます。

ネットゲームやSNSへの依存は、アルコールやタバコの依存症と異なり子どもや若年者にもその危険があります。
特に進級や進学を機にスマートフォンを手にし、新しい環境に慣れるためのコミュニケーションツールとしてSNSやゲームに没頭してしまい、結果的に人間関係やゲーム内での金銭トラブルを引き起こすケースもあります。
子どものネット依存を防ぐためには、使用前にルールを決めておくことが大切です。

<ネット依存の予防のために>
・親の名義で購入し、子どもに貸す形をとりましょう。アプリのダウンロードも親の管理で。
・購入する前にルールを決めましょう。
・使用場所、使用時間を決めましょう。リビングなど家族の目の届く場所での使用が望ましいです。
・使用金額を決めておきましょう。ゲーム内の課金や電子マネーは現金での支払いではないので、お金を使っているという感覚が乏しくなります。無断で課金をしないなど必ずルールを決めておくことが大切です。
・ルールは書面にして目に見えるところに置き、定期的に見直しましょう。
・良く知りましょう。大人が良く分からないまま、適切な使い方を子どもに教えることはできません。メリット、デメリット、リスクを良く知ることが大切です。
(久里浜医療センター)