便秘薬あれこれ

便秘薬あれこれ

 
便秘とは、排便回数が週3日以下、排便が困難、またはその両方を伴う場合ですが、排便回数は個人差もあり、単に回数が少ないだけでは便秘ではありません。
便の量や水分量が少なくなり、排便に苦痛がある、不快感、腹痛があり、日常生活に支障が出るような状態を言います。

 
 
便秘の原因による分類
*器質性便秘
主に腸に何らかの病気があることが原因で便秘になることがあります。
原因となる病気としては、大腸がん、炎症性腸疾患、腹膜炎、糖尿病、甲状腺機能低下、副甲状腺機能亢進症、膠原病などがあります。この場合には、原因疾患の治療が優先されます。

*機能性便秘
腸管の運動が低下している弛緩性便秘と亢進している痙攣性便秘、及び粘膜知覚の低下による直腸性便秘症があります。

*薬剤性便秘
薬剤の使用が原因で便秘が起こる場合があります。
最近使い始めた薬がある場合は、医師、薬剤師に相談しましょう。原因となる可能性がある薬剤には、痛み止め、風邪薬、抗うつ薬などがあります。

  
主な便秘薬
○刺激性成分・・・ビサコジル、センナ、ピコスルファートなど
腸粘膜や神経を刺激し、鈍った腸の蠕動運動などを亢進させ、優れた排出効果を発揮します。

○浸潤性成分・・・DSS(ジオクチルソジウムスルホサクシネート・界面活性剤)
腸内へ水分を引き寄せて便を軟らかくし界面活性成分が便を包んで滑りやすくします。

○膨潤性成分・・・プランタゴ・オバタ種皮などの食物繊維など
腸内での水分を吸収し便を膨張させ軟らかくするとともに、便の容量を増やすことにより、腸の蠕動運動を亢進させます。

○漢方成分・・・大黄甘草湯・麻子仁丸など
腸粘膜や神経を刺激し、腸の蠕動運動を亢進させ排出効果を発揮します。

○塩類成分・・・マグネシウム類
腸内へ水分を集めて便を軟らかく膨らませることにより排出します。 この他、副交感神経刺激剤(パンテチン、塩化ベタネロール)、ヒマシ油や浣腸(グリセリン)、坐薬として使われる炭酸水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウムなどがあります。

  
新しいタイプの便秘薬
ルビプロストンは、小腸で腸管内への水分の通り道を活性化し、腸管内への水分の分泌などを促進し便を軟らかくして腸管内輸送を高めることで排便を促します。
従来の便秘薬は、大腸を刺激するタイプの便秘薬ですが、小腸に作用し便の水分量を増やすことで、自然な排便を促します。 
この他、ある種の痛み止め(オピオイド系鎮痛薬・がん性疼痛など激しい痛みに処方されます)による便秘に効果がある薬(ナルデメジン)や原因のはっきりしない機能性便秘症に効果がある腸管内への水分の分泌を促進する薬(リナクロチド)なども医師の処方により使用できるようになりました。

  
便秘薬の選び方
弛緩性便秘や直腸性便秘には、鈍った腸を刺激して便を排出する「刺激性成分」や、硬い便を柔らかくする「膨潤性成分」が効果的です。
また緊張・痙攣を起こしている状態の痙攣性便秘には「塩類成分」が効果的です。