口腔ケア~健康寿命を延ばそう~

人生100年時代、「ピンピンコロリ」が理想ですが、現在、平均寿命と健康寿命の差は10年あり、多くの高齢者は亡くなる前の10年間、要介護や寝たきりになってしまうことも。
そこで注目されているのがフレイルの対策です。
フレイルとは、加齢や疾患によって心身の活力や社会とのつながりが低下した、健康と要介護の中間状態のことで、フレイルになると要介護のリスクが高まります。
フレイルの大きな要因の一つが、むせる、滑舌が悪くなる、食べこぼすといった、口の機能の低下を意味する「オーラルフレイル」です。
フレイルの入り口であるオーラルフレイル対策を講じることが、介護なく自立して生活のできる健康寿命の延伸につながっていくと言われています。
<<オーラルフレイル対策は2つ>>
①「健康で噛める歯を残す」
②「口腔機能を維持する」
①「健康で噛める歯を残す」歯周病予防はオーラルフレイル対策の第1歩
40歳以上の7割が歯周病をかかえているというデータもあり、歯周病予防がオーラルフレイル対策の第1歩と考えられています。
歯周病には歯肉炎と歯周炎があり、どちらも歯にこびりついた細菌のかたまりであるプラーク(歯垢)が原因です。
歯肉炎歯ぐきだけが腫れる症状で、こちらは歯科医院で正しい歯みがきの仕方を教わり、プラークを歯ブラシでしっかり落とすことで完治します。
厄介なのは歯周炎です。
歯を支えるセメント質や接合組織だけではなく、歯を支える骨までも溶けてしまい、最後は歯が抜け落ちてしまいます
歯周炎は治療をして完治した後も、元の歯肉の状態に戻ることはありませんので注意が必要です。
歯周病は自覚症状がないことが多く、放っておくと重症化するため早めの対応が必要です。最低年に2回、3か月に1回を目安に歯科医院での健診が重要です。
② 口腔機能の維持対策として、大切なのは“噛む力”と“飲み込む力”を保つこと
自分の歯を残すことに加え、もう一つ重要なオーラルフレイル対策が、食べる、話す、呼吸するといった口腔機能を維持することです。
食べ物を噛む時には、口を閉じる際に使う『側頭筋』と、固い食品を噛み砕く時に使う『咬筋』と
いう筋肉が働きます。この2つの筋肉を動かすトレーニングは効果的です。
また筋肉のかたまりである舌の動きも重要です。
舌は、食べる行為において、食べ物を飲み込みやすくまとめる、喉に送る、さらに飲み込む時の力こぶにもなります。舌が衰えると、食道ではなく気管に食べたものが落ちて最悪の場合、誤嚥(ごえん)性肺炎を引き起こします。また、孤食や引きこもりによって社会とのつながりを断たれることも口腔機能の低下につながるので、友達とおしゃべりや食事を楽しむことも大切です。
早い段階から口腔機能を維持し、肺炎、社会的孤立、要介護のすべての入り口ともいえるオーラルフレイル対策を行うことが必要です。
<口周りの筋力アップ体操>
パタカラ体操がおすすめ。しっかり口を動かして、「パ」「タ」「カ」「ラ」と発声します。
口回りの筋肉や舌の動きを鍛え、噛む力や飲み込む力を鍛えることができます。毎食前に「パパパパパ」など5回発声してみましょう。
<毎日の習慣で口腔トレーニング>
口に水をふくんで上を向く「ガラガラうがい」も、ほお全体をふくらませる「ブクブクうがい」も、意識して行うことで口の機能を鍛えることにつながります。ハミガキ時にいつもより「少し長め・回数多め」を意識して行いましょう。