『シンバイオティクス』で腸活!

近年よく見聞きする「腸活」ですが、一般的には、腸を整えて健康的な体を目指すことを指します。腸は、食べたものを消化・吸収し、便を作って排泄を促す臓器に違いありませんが、働きはそれだけではありません。
口から入ってきた病原菌やウイルスから体を守る、免疫の機能も担っています(腸管免疫)。
また、腸は「第二の脳」とも呼ばれ、心の健康にも深くかかわっていると言われています(脳腸相関)。

腸内細菌の乱れが、体調不良のきっかけに?

腸の働きのカギを握るのが、腸内細菌です。私たちの腸の中には、1000種100兆個以上に及ぶ腸内細菌が菌種ごとにまとまって生息しています(腸内フローラ)。
腸内フローラを形成している菌は、次の3つに大きく分類されます。
①善玉菌:腸のぜん動運動をうながしてお腹の調子を整え、悪玉菌の侵入や増殖を抑える。
②悪玉菌:腸内に増加することで有害物質が作り出され、ガスなども発生。
③日和見菌:善玉菌・悪玉菌のどちらか優勢な(多い)方の味方をする。
では、全て善玉菌になればよいのかというとそうではなく、腸内フローラのベストなバランスは、善玉菌2割、悪玉菌1割、日和見菌7割といわれています。
細菌の種類や分布の仕方などは、人それぞれ異なります。また、ストレス・加齢による善玉菌の減少・偏食などによって悪玉菌が優勢になりバランスが乱れることで、様々な体調不良や疾患を引き起こすこともわかってきました。
腸内細菌と関連性があると考えられる疾患には、以下のようなものがあります。
◆過敏性腸症候群 ◆便秘 ◆自閉症  ◆うつ病 ◆関節リウマチなどの自己免疫性疾患
◆アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患  ◆大腸がん ◆肥満 ◆動脈硬化症など

効果的な腸活『シンバイオティクス』!

理想的な腸内フローラを整えるには、現在【プロバイオティクス】【プレバイオティクス】という2つの手法があります。
【プロバイオティクス】は、生きた良質な菌を直接摂取することを意味します。
一方【プレバイオティクス】は、腸内にいる善玉菌のエサとなる成分を摂取するという考えです。
【プロバイオティクス】
<代表的な菌・成分>
ビフィズス菌、乳酸菌、納豆菌、発酵乳など
<代表的な菌・成分>
ヨーグルト、納豆、味噌、ぬか漬け、キムチ、酒かすなど
【プレバイオティクス】
<代表的な菌・成分>
オリゴ糖類、難消化性でんぷん、水溶性食物繊維など
<代表的な食品・食材>
果物、野菜類、キノコ類、豆類、海藻類、穀物など(オリゴ糖を多く含む食品:〈例〉ごぼう、玉ねぎ、アスパラガス、バナナ、大豆など)
※疾患や薬によっては、果物・野菜類・納豆などの摂り方に注意が必要な場合があります。
これら2つを掛け合わせた食事方法のことを『シンバイオティクス』と呼びます。
また、これまでは「善玉菌を増やすこと」が腸のために大切だという考え方が主流でしたが、近年は「多くの種類の細菌が腸内にいる方が良い」という多様性を重視する考え方が注目されています。
いろいろな種類の食品をなるべく数多く摂るようにすると良いと言えます。
腸活の軸は上述のような食生活ではありますが、それだけではなく、十分な睡眠や適度な運動を組み合わせることがとても重要だと考えられます。
一朝一夕には結果はでませんので、「腸活」はぜひ継続して取り組みたいですね。