もしかして、これって更年期障害?

日本人女性の平均閉経年齢は 50歳前後。
その前後約5年間は更年期と呼ばれ、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減ることによりさまざまな症状が現れます。その中でも、日常生活に支障をきたすようなつらい症状を「更年期障害」と呼びます。年齢に伴う体の変化を知り、適切なケアをすることで上手に乗り切りましょう。

更年期障害はどうして起こるの?
エストロゲンによって調節されていた体の機能は、エストロゲンの分泌量が減ることでうまく働かなくなります。またエストロゲンの低下を察知した脳は、卵巣に対してもっとエストロゲンを分泌するように指令を出しますが、十分なエストロゲンが分泌されないため、ホルモンバランスの乱れが生じ、自律神経の調節がうまくいかなくなります。
これに、加齢に伴う身体的変化、性格などの心理的因子、家庭や職場・地域などにおける環境の変化やストレス、運動不足、喫煙などの生活習慣などが複合的に影響することであらわれます。

症状は?
更年期の最初のサインは生理周期が短くなる、経血量が減るなどの月経の変化。その後エストロゲンの減少に伴って、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンや睡眠物質のメラトニンの分泌も減少。自律神経の不調による症状も重なり、不眠や不安、イライラなど精神的な不調も起こります。
汗が止まらなかったり、のぼせやほてりなどのいわゆる「ホットフラッシュ」動悸、肩こり、疲れやすい、頭痛や腰痛なども症状のひとつです。
エストロゲンは、月経をコントロールする働きのほかに、心血管系、骨、脂質代謝、皮膚、泌尿生殖器、脳の機能などにもかかわっています。これらの器官がエストロゲンの恩恵を受けることができなくなると、脂質異常症や高血圧、尿漏れ、頻尿などの排尿トラブル、骨粗しょう症など様々な病気のリスクも高まります。
ただ単に疲れがたまっての不調や憂うつ感やイライラ、だるさなど月経前症候群(PMS)、甲状腺疾患など他の病気の症状と似ているものもあります。病気が隠れている場合は早期発見にもつながりますし、「更年期かも?」と思ったら、まずは婦人科で相談してみましょう。

治療
・ホルモン補充療法:足りなくなったエストロゲンを薬で補います。飲み薬の他、貼り薬や塗り薬のタイプもあります。
・漢方薬:体質や強くあらわれている症状に合わせて、症状の緩和を目的として用いられます。
・抗うつ剤、安定剤、催眠鎮静薬など:憂うつ感や不安、イライラ、不眠などの症状に応じて用います。

更年期以降も健やかに過ごすために
更年期を経て身体がゆっくりとかわっていくことで、様々な病気のリスクも上がりますが、早いうちから運動や生活習慣を改善することで確実にリスクは下げられます。
・食事:バランスのよい食事と合わせて、女性ホルモンと似た働きのある大豆イソフラボンが含まれる大豆食品を取り入れるのもお勧めです。
・運動:[ウォーキングや水中歩行、ヨガ、サイクリングなど楽しく無理なく継続できるものを体調に合わせて行い、リフレッシュしましょう。