感染性胃腸炎

新型コロナウイルスの感染対策で今では日常生活に定着したアルコール消毒。
お店の入り口でシュ。 出勤してシュ。 食事の前にもシュ。
これで感染対策はバッチリ!…と思って手洗いがおろそかになっていませんか?
アルコール消毒だけでは十分に防げないウイルスもあるのです!
それが、冬の感染性胃腸炎の主な原因であるノロウイルスやロタウイルスなどです。
感染経路
病原体が付着した手で口に触れることによる感染(接触感染)、汚染された食品を食べることによる感染(経口感染)があります。
症 状
病原体により異なりますが、潜伏期間は1~3日程度です。
主な症状は吐き気、おう吐、下痢、発熱、腹痛です。症状のある期間は、ノロウイルスでは平均24~48時間、ロタウイルスでは平均5~6日です。
感染しても発症しない場合や、軽い風邪のような症状の場合もあります。
治 療
特別な治療法は無く、症状に応じた対症療法が行われます。
乳幼児や高齢者では下痢等による脱水症状を生じることがありますので、早めに医療機関を受診することが大切です。
おう吐の症状がおさまったら少しずつ水分を補給し、安静に努め、回復期には消化しやすい食事を摂るよう心がけましょう。
予防のポイント
トイレの後や、調理・食事の前には、石けんと流水で十分に手を洗いましょう。
アルコール消毒は新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスを死滅させることはできますが、感染性胃腸炎の原因となるノロウイルスやロタウイルスなどには効果が十分ではありません。
その理由はウイルスの構造にあります。
ウイルスには、脂の膜に包まれているものとそうではないものがあります。
アルコールはこの膜を壊すことでウイルスにダメージを与えるのですが、膜がないウイルスは表面がタンパク質の殻で覆われているため、それができません。
ノロウイルスなどにはこの脂の膜がなく、一般に消毒薬に強い性質があります。こうしたウイルスに感染しないためには、手洗いで物理的に洗い落とすという作業が必要です。
便やおう吐物を処理する時は、使い捨て手袋、マスク、エプロンを着用し、塩素系漂白剤(ハイターなど)を用いて消毒し、処理後は石けんと流水で十分に手を洗いましょう。カキなどの二枚貝を調理するときは、中心部まで十分に加熱しましょう。
【参考:簡易なハイター等の薄め方】(市販の漂白剤:塩素濃度約5%の場合)
<濃度>
0.02%・・・・環境消毒*に使用
0.1%・・・おう吐物・ふん便が付着した場合の処理に使用
*家庭や施設において、発生時にトイレのドアノブや手すりなど、多くの人が触れる場所の消毒に使用(必要時に希釈してください)
<希釈方法>
約0.02%(200ppm)・・・2リットルのペットボトル1本の水に10ml(原液をペットボトルのキャップ2杯)
約0.1%(1000ppm)・・・500mlのペットボトル1本の水に10ml(原液をペットボトルのキャップ2杯)
(注)次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食させるため、金属部分に使用した場合は10分程度たったら水拭きしてください。
また、塩素ガスが発生することがあるので、使用時は十分に換気をしてください。