C型肝炎

肝臓は、栄養分の生成や貯蔵、血液中の薬物や毒物の代謝や解毒、胆汁の産生、身体の中に侵入したウイルスや細菌による感染の防御などさまざまな働きをしており、生きていくためには健康な肝臓であることがとても大切です。
一方で、「沈黙の臓器」ともいわれており、ダメージを受けても自覚症状はなかなか出ません。そのため症状が現れた時には病気がかなり進んでいることが多いのです。
肝臓が肝炎ウイルスに感染すると肝炎になります。肝炎を引き起こすウイルスにはA・B・C・D・E型などがあり、なかでも日本人に圧倒的に多くみられるのが、B型肝炎とC型肝炎です。
C型肝炎は、C型肝炎ウイルス (HCV)に感染することによって起こる肝臓病です。HCVに感染すると、一部の人は急性肝炎を発症しますが、多くの人はとくに自覚症状が現れません(不顕性感染)。
このうち約3割の人は自然に完治し、残りの7割の人の肝臓にはHCVがすみつき慢性化(キャリア化)していきます。そのまま治療をせず放置していると、徐々に肝臓の機能が失われていき、やがて肝硬変や肝がんへ進行する恐れがあります。
そのため、C型肝炎を早期に発見し、きちんと治療して将来の発がんを防ぐことが重要です。
感染の現状
HCVは感染者の血液を介して感染します。
日本ではHCVのキャリアは若い人に少なく、40歳以上に多くみられます。キャリアのうち 20~30%は過去に輸血を受けたことがある方で、その他の方はいつどこで感染したかわからない場合がほとんどです。
現在では献血された血液のすべてについてHCVの検査が行われており、輸血や血液製剤による感染の危険性はほとんどなくなりました。
ただし、次の項目に当てはまる方は、感染のリスクが一般の方よりも高いと考えられます。
①1992年以前に輸血や大きな手術を受けたことがある
②長期に血液透析を受けている
③フィブリノゲン製剤を投与されたことがある
④薬物乱用者(覚せい剤、麻薬の注射)、入れ墨(タトゥー)をしている
⑤過去に肝機能異常を指摘されたことがある
肝炎検査をするには
肝炎ウイルス検査は血液検査で感染の有無がわかり、ほとんどの医療機関で受けることができます。
肝炎は自覚症状が少ないため、慢性的な食欲不振、身体の倦怠感、嘔吐や黄疸などの症状がある方は、早期に検査することが望ましいです。また、日本の肝がんの原因の65%がC型肝炎と言われ、年間3万人以上が肝がんで亡くなっています。150万人が気付かぬままHCVに感染していると推定されており、年齢が高くなるほど発症のリスクが高まります。
現在では、新薬の開発が進み抗ウイルス薬の飲み薬での治療が主流となっています。また、医療費助成制度も用意されています。早期であれば根治の可能性が高くなります。
過去に一度も肝炎ウイルス検査を受けたことがない方は、将来の健康のためにも検査を受けるようにしましょう。