気管支喘息は、急に空気の通り道となる気管「ヒューヒュー」「ゼーゼー」し始めて、呼吸が苦しくなる状態を繰り返す病気です。
気管支に慢性的な炎症が起こっており、少しの刺激でも気管支の壁が腫れたり、粘液(痰)が分泌されたり、気管支の周りの筋肉が縮もうとしたりして気管支が狭くなってしまい発作が起こります。
炎症を治さない限りいつまでも発作が出現します。さらに、長く炎症が続くと気管支自体が硬くなって治療が難しくなる「リモデリング」といった状態に陥ってしまいます。
気管支喘息の診断
何度も「ヒューヒュー」「ゼーゼー」したり、風邪をひいた後に咳が長引いたりするのは、気管支喘息の可能性があります。一方で、気管支喘息以外にも同じ様に症状を起こす病気もあります。そのため、問診や診察、検査を行って総合的に気管支喘息を診断する必要があります。
ただ、乳幼児(5歳以下)はもともと気管が大人に比べて細く、柔らかいので喘息以外でも症状が起きやすいという特徴があります。また、低年齢で行うのは難しい検査もあるため、2017年のガイドラインから診断が難しい場合には、一度喘息の治療を開始して発作が減るかをみることも推奨されています。
気管支喘息の治療
①長期管理(普段の治療)と②急性期(喘息発作時の治療)があります。
①長期管理
喘息をよく理解した上で、次の3つの対策「悪化因子への対策」「薬物療法」「体力作り」を実践することが大切です。
[悪化因子への対策]
悪化因子には、風邪などの感染症、ダニやペットの毛など(吸入タイプのアレルゲン)、天候や大気汚染、受動喫煙、激しい運動、カビ、ストレスなどがあります。悪化因子について個人ごとに対策をたてます。
[薬物療法]
炎症を抑えるために普段から発作を予防する薬剤を使用します。主な長期管理薬として、吸入ステロイド薬、ロイコトリエン拮抗薬などがあります。
吸入ステロイド薬は、気管支に直接効果を発揮して炎症を鎮めてくれます。直接的であるため、少ない量で効果が得られ、内服薬のような副作用は起こりません。年齢に応じて色々な種類の薬があります。気管支喘息長期管理の主役とも言える薬です。
ロイコトリエン拮抗薬は内服の薬です。吸入ステロイド薬に比較すると炎症を鎮める効果は弱くなりますが、使用のしやすさはあります。比較的軽症の症例ではこの薬剤だけで治療を行うこともありますが、より重症な例では吸入ステロイド薬と一緒に使用することもあります。
[体力作り]
適度な運動やバランスのとれた食事、十分な睡眠、規則正しい生活が大切です。喘息の悪化因子として激しい運動もありますが、成長期のお子様では十分な治療や対策を行って運動をしても問題ないようにするという考えが重要です。また、肥満も喘息を悪くしてしまう原因であることが分かっています。
②急性期(発作治療薬)
主な薬にβ2刺激薬の吸入薬などがあります。発作が起きた時の狭くなっている気管支を拡げる効果があり、即効性があります。
ただ、この薬には炎症を抑えるような効果はありません。そのため、発作が起こる度にこの薬を使うだけの対応では、いつまでも炎症が改善せずに気管支が硬くなるなどの問題が出てきます。発作が出た時には使用が必要ですが、まずは普段の治療で発作が出ないようにすることが大事です。