聴力検査
●検査の行い方
定期検診などで行われる選別聴力検査は、オージオメータという機器から出る音をヘッドホンで片耳ずつ聞き、聞こえたら手元のボタンを押すことで難聴がないかを調べます。周波数が 1000Hz(ヘルツ)の音(低音)と4000Hzの音(高音)で調べるのが基本です。
一般に、日本語の聞き分けには2000Hzまでが必要とされ、1000Hzは日常会話に必要な聴力の指標となります。聞こえなくても日常生活に特に支障のない4000Hzは、高音域から始まる難聴の早期発見に役立ちます。
●健康診断の聴力検査で見つかる難聴とは?
難聴は、音の聞こえる道すじのどこかに異常が生じても起こる可能性があり、原因となる病気もさまざまです。定期検診などで見つかるのは、自覚症状がほとんどない、進行の遅い聴力障害が中心になります。加齢性難聴や騒音性難聴などの慢性感音難聴が代表的です。
●どんな異常があるときどんな病気を疑う?
中耳炎などの耳の病気の既往がなく、自覚症状もない場合は、難聴の起こり方や年齢、環境などを考慮する必要があります。
一般に、慢性感音難聴は両方の耳に起こります。4000Hzの検査で両耳に異常があり、年齢が50歳以上の場合、まず考えられるのは加齢性難聴です。
また、日常的に騒音のもとで仕事をしている人などは、騒音性難聴の可能性が考えられます。
一方、片方の耳のみに異常がある場合は、突発性難聴やメニエール病、聴神経腫瘍などの可能性もあります。
いずれの場合も耳鼻咽喉科での精密検査が必要です。
眼底検査
●健康診断で行われる眼底検査とは?
が直接診察する方法と、眼底カメラで撮影した写真を医師が見る方法があります。また、眼底カメラには、散瞳薬を用いる散瞳型と、用いない無散瞳型があります。
スクリーニング(ふるい分け)検査では、無散瞳型の眼底カメラによる検査がよく行われています。通常、瞳孔が自然に広がる暗い部屋で撮影します。検査を受けるときには、額とあごを所定の位置に合わせて目を開くと、一瞬フラッシュが光って撮影が行われます。
撮影は片方ずつ、少し間隔をあけて行われます。
眼底検査では、眼底の網膜や視神経乳頭、血管の状態などを観察します。
出血や白斑(血管からしみ出した血液成分が網膜に沈着して生じる白いしみ)、浮腫(むくみ)などもわかります。
また、網膜の血管は体外から直接観察できる唯一の血管であり、眼底の血管の状態は、高血圧や動脈硬化の状態を推測する手がかりともなります。
●どんな異常が見つかる?
全身性の病気では、糖尿病の三大合併症の一つである糖尿病網膜症の発見が重要になっています。
また、目の病気では、緑内障や加齢黄斑変性の早期発見の役割が大きくなっています。
●健康診断の検査でどこまでわかる?
無散瞳の眼底カメラでの検査は、散瞳して行う検査より調べられる範囲が狭くなります。出血や網膜剥離も眼底の周辺部で起こると見つかりません。
より詳しく調べるには、散瞳薬で瞳孔を広げて検査する必要がありますが、眼圧上昇の素因のある人では緑内障発作を起こす恐れもあるため、眼科医でないと行えません。
また、似たような眼底所見のある病気を鑑別するには、さら眼底検査には、検査用のレンズを使って医師に詳しい検査が必要になります。