健康診断の検査結果からわかること No.3

心電図
心臓の筋肉は微量な電流によって一斉に収縮し、ポンプとして効率よく働いています。心電図は、この電流をグラフにして心臓の働き具合をみる検査です。
◎検査でわかること
心臓のリズム(不整脈の有無)と心臓の筋肉の病気(心肥大、狭心症、心筋梗塞、心筋症、心筋炎など)、さらに心臓を包む心膜の病気がわかります。しかし、不整脈を除き、心電図だけでは確定診断に至らないことが多く、他の検査と組み合わせて診断します。
尿検査
血液をろ過してつくられる尿は、特に尿をつくる腎臓や尿の通り道である尿路の異常をみつける検査として大切です。尿たんぱく、尿潜血、尿糖などをはじめ、様々な検査項目があります。

◎検査でわかること
尿たんぱくが陽性の場合、腎臓・尿路の病気や糖尿病などの全身疾患による腎障害などの可能性を示します。腎臓病以外の原因でみられるたんぱく尿は良性のものもあり、原因となる病態が改善すると、尿たんぱくもなくなります。

また、一時的に生じる生理的たんぱく尿は心配ありません。
尿潜血が陽性の場合、腎臓・尿路の病気や筋肉の病気などによるミオグロビン尿などの全身疾患の可能性を示します。疑われる病気が多いため、年齢や状況に応じた追加検査が必要になります。
尿糖が陽性の場合、血糖値が高いことなどを示し、体質的に尿糖が出やすい腎性糖尿を除き、糖尿病あるいは内分泌疾患による二次性糖尿病が疑われます。血糖値やHbA1cの測定、経口ブドウ糖負荷検査で診断を確定し、原因を探索します。
便検査(便潜血)
便の中に血液が混入していないか調べる検査です。便潜血の検査は大腸からの出血を検出するものと考えてよいでしょう。
◎検査でわかること
大腸の病気の多くで出血がみられます。そのため、スクリーニング検査(病気のふるい分け)として広く利用されています。特に大腸がんの早期発見のためには欠かせません。また、痔など肛門周辺の病気も多く、これらでも陽性になります。
便潜血検査で陽性になっても、必ずしも重大な病変の存在を確定するものではありませんが、陽性のときは、基本的には大腸を内視鏡検査などで精査します。
胸部レントゲン(胸部X線検査)
 
主に心臓や大血管、肺の状態を調べる検査です。胸をフィルムにくっつけ、背中からX線を当てて撮影すると、空気の多い肺は黒く映り、心臓や骨があるところは白く映ります。肺の中にがんや炎症が存在する部位も、X線の通りが悪くなるので白い影として映ります。
◎検査でわかること
肺の病気の診断に有用です。肺がん、肺結核、肺炎などでは、異常が白い影として映ります。しかし、病気の影が薄すぎたり、骨や心臓の裏に隠れたりすると、病気があってもわからないこともあります。この場合、肺の断面を見ることができる胸部CT検査が有用です。気胸、肺気腫などは病気があるところの空気が多くなるので、黒い「抜け」として映ります。気管支拡張症、胸水なども胸部X線写真で指摘されます。
一方、肺と一緒に心臓や大血管も映るので、心臓弁膜症、拡張型心筋症や心筋梗塞など、心臓が肥大する病気がみつかるきっかけにもなります。また、心不全が悪化すると、肺水腫になったり、胸水が貯留したりすることもわかります。
このほかに、側弯症、骨折やがんの骨転移など脊椎や肋骨、肩関節の異常がわかることもあります。