おしりからの出血

おしりからの出血というと、痔だと思ってしまう方が多いと思いますが、痔だけではなく他の病気による場合もあります。
出血の状態やそれに伴う症状によって多くの病気がわかります。
血便① ティッシュ・便に血液が付着
鮮やかな赤い血液が付着した便の場合は、痔による肛門管からの出血と考えられます。
痔とは、肛門と肛門周辺の病気の総称で、「日本人の3人に1人は痔に悩んだことがある」といわれるほど、身近な病気のひとつです。
大きく分けて、痔核(じかく)、裂肛(れっこう)、痔瘻(じろう)の三つの種類があります。出血がよくみられるのは、痔核と裂肛です。
痔核は俗称でいぼ痔とも呼ばれ、肛門を閉じる役割をするクッション部分が肛門に強い負担がかかることで腫れる状態で、内痔核と外痔核があります。
裂肛は俗にいう切れ痔のことで、硬い便の排泄や下痢によって肛門が切れる状態です。痛みを伴う出血の場合は裂肛のことが多いのに対して、痛みを伴わない場合は痔核の表面からの出血が多いです。
痔瘻は直腸(粘膜)と肛門(皮膚)の境目のくぼみから細菌が入り込み、中で膿がたまり(肛門周囲膿瘍)、その膿が出たあとに肛門内部に通じる管が残った状態をいいます。
血便② 便に血液が混入
胃や十二指腸などから出血した場合は、胃酸の影響で便の色は黒っぽくなります。
便にある程度の血液が混じっているとトイレの水で薄められて赤黒くなり、便器が血で染まっていることがわかります。このようなとき、一番多いのは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍からの潰瘍出血です。
血便で便が赤いときは、大腸からの出血で、大腸憩室(大腸内壁の一部が外側へ袋状にとびだしたもの)出血があげられます。
粘 血 便
粘血便とは、鼻水のような粘りけのある粘液を含んだ血液混じりの便のことです。
粘液便がみられる病気の代表には、潰瘍性大腸炎やクローン病などの、難病と言われる炎症性腸疾患があります。
潰瘍性大腸炎は、大腸のみに発生する粘膜の病変で、粘膜の炎症が一面に広がってみられます。
クローン病は、腸管の壁全体に炎症が及ぶ病気で、飛び石状に良いところ悪いところが交互に広がってみられます。
このほか、大腸がん、ウイルス性腸炎、薬剤性腸炎やO-157大腸菌による腸炎でも粘血便が出ます。また、それに伴い全身の倦怠感や軽い発熱がみられたり、炎症の部位によって異なりますが、下腹部痛などの症状が出たりすることがあります。
このように、おしりからの出血の原因は様々です。
しかし、これはあくまでも目安に過ぎません。自己判断や放置は禁物です。
専門家による正確な診断を受けることが必要です
「おしりの診察は恥ずかしいからなかなか受診できない・・・・」という方も多いと思いますが、プライバシーに配慮した診察や痛みの少ない検査を行っている病院も多いです。
気になる症状が出ている方は、肛門科や消化器科を早めに受診しましょう。