背中の痛みとその原因

 
背中の痛みは一時的な筋肉や骨の障害であることが多く、自然によくなることがほとんどです。
しかし、次のような病気が原因のことがあります。
筋肉に原因がある場合
筋膜炎、筋挫傷など…無理な姿勢や動きの後、動くと悪化する場合
筋膜炎は、筋肉の使い過ぎによって筋膜(筋肉を覆う薄い膜)が水分を失って硬くなった状態です。
身体の様々な場所で起こりますが、特に後頭部、首、肩関節周辺、背中や腰などに生じやすいようです。

 

骨に原因がある場合
・変形性脊椎症
・骨粗鬆症
・脊柱管狭窄症
・圧迫骨折

 

内臓に原因がある場合
・気管支炎
咳・痰・発熱が主な症状ですが、背中や腰、筋肉の痛みが出ることもあります。
コロナウイルス感染症も念頭に置き、まずは電話で相談しましょう。
・虚血性心疾患
胸や背中に強い痛みや圧迫感、息苦しさを感じます。
冷や汗が出たり、意識障害を起こしたりすることもあります。
胸痛とともに動悸、息切れ、めまいなどの症状が出るのが特徴です。
・急性膵炎
膵臓は消化液(膵液)やインスリンなどのホルモンを分泌する臓器で、胃の後ろ側にあります。
膵炎は、膵管の流れが悪くなり膵液が膵臓内で異常に活性化し膵臓そのものを消化、炎症を起こす病気で、みぞおちや背中に痛みが出ます。
・胆石症、胆嚢(たんのう)炎
胆嚢は胆汁を一時的にためておく臓器で、食事が刺激となって十二指腸へ流れていきます。
胆嚢や胆管に結石ができると、痛みを生じることがあります。
食後に右側上部肋骨あたりやみぞおちに痛みが出て、炎症が強くなると右肩や背中にも痛みが広がります。
・腎・膀胱・尿管結石など
左右どちらかの背中が急に痛くなり、血尿を伴うこともあります。
・がん
痛みの出ることが多い疾患ですが、食道・胃・膵臓・膀胱がんなどでは、背中の痛みが出ることがあります。

 

その他
・帯状疱疹
子どもの頃に感染した水痘ウイルスが、免疫力が低下した時に再び活動を始めることによって起こります。
通常身体の左右どちらかの神経に沿って帯状に発疹や水疱が生じます。
発疹が引いたあとも痛みが長期間続くことがあります。発症後早めに抗ウイルス薬による治療を受けることが大切です。
・血管に原因がある…大動脈乖離・大動脈瘤
大動脈乖離では突然胸や背中に激しい痛みが出る事が多く、緊急の治療が必要です。
また大動脈瘤は徐々に大きくなるため気づきにくいのですが、大きくなると周辺の臓器を圧迫して痛みが出ることがあります。
胸部大動脈瘤の場合は気管を圧迫し呼吸困難になったり、声がかすれることもあります。
動脈瘤が破裂すると、血液が血管外に流れ出て激しい痛みとともにショック状態に陥り、命の危険もあります。

 

受診のめやす
次のような症状がある時には、医療機関の受診を考えましょう。
・歩くのがつらい
・足がしびれる
・脱力
・発熱
・血尿
・体重が減少しているなど
痛み以外の症状も合わせて考え、適切な医療機関を選びましょう。