声と健康の関係

声がかすれたり、出にくくなったり、聞き取りにくいと指摘されたり変化はありませんか?
普段はあまり気にすることのない声帯ですが、実は体全体の健康を支える重要な器官です。正しい休め方、鍛え方を知ることで、病気の予防や早期発見にも役立ちます。
声の出る仕組み
のどの奥(喉頭)にある2枚の声帯が、吐き出す息の力で震えて起こる振動音から声は生まれます。その振動音を舌や唇、口腔、歯、鼻腔などの構音器官で音声に変えて、言葉を発しています。また、声帯は閉じたり開いたりすることで肺につながる気管の蓋をする役目も担っています。
声の異常は病気のサイン?
声帯や構音器官に炎症や損傷があれば、声にも変化が表れます。つまり、声の異変は異常を知らせるサインでもあります。
加齢によって声帯やその周辺の筋肉が萎縮し、2枚の声帯がしっかり閉じられなくなると、きれいに振動せず声が低くなったり、かすれたりします。また声帯の隙間から異物が気管に入ってしまい、そこから誤嚥性肺炎につながるおそれもあります。さらに、肺に息をため込めなくなるため、全身に力を入れて踏ん張ることも難しくなります。瞬間的に力むことが難しくなるので転倒しやすくなったり、便秘になったりすることもあります。
かすれ声は加齢だけではなく、ポリープや大動脈瘤、甲状腺がん、肺がん、食道がんなど喉の周りのがんなど大きな病気のサインの可能性もあります。自分や周りの方の声に異常を感じたら、まずは耳鼻咽喉科を受診してみましょう。
まずは自分の声の調子を知りましょう!
一息で鼻から空気を吸って『あー』と声を出してみます。男性なら15秒くらい、女性なら12秒くらい声を出し続けられなければ要注意です。
いい声を保つために
声帯も適度に使うことで鍛えられます。無理な音域や大声で声帯を酷使せず、正しい発声で声を使い続けることが大事です。積極的に人と話したり、歌を歌ったりしましょう。
糖質・脂質の多い食事、炭酸飲料やアルコールを摂りすぎると、胃酸が過剰に出て食道に逆流し、喉が焼けて声帯を痛めてしまいます。タバコも発がん物質が含まれていたりとよくありません。つまり、健康的な生活をすることがいい声を保つ秘訣です。
他に、水やお茶などで水分補給をこまめに行い、マスクや加湿器を活用しのどの乾燥を防ぎましょう。
声帯をしっかり閉じられるように鍛える運動を紹介します。声の老化や誤嚥の予防にもなります。
息こらえ体操
①胸の前で手を組み、大きく息を吸う。
②両手を左右に引っ張り、5秒間息をこらえる。
5秒間がつらければ3秒でもOK。こらえたら、ゆっくり息を吐いてリラックスします。
10回を1セットとして、朝昼晩計3セットをまずは1か月続けてみましょう。
年齢とともに落ち着きのある声になるのは自然なことですが、生き生きとしたハリのある声を保てるようにケアを実践してみましょう。