◆◆第一選択降圧薬の有効性と安全性の包括的比較: 系統的多国籍大規模分析◆◆

【背景】 

高血圧に対する最適な単剤療法については不確実なままであり、現在のガイドラインでは、併発疾患がない場合はサイアザイド系・非サイアザイド系利尿薬、ACE阻害薬、ARB、ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬、非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬のようなあらゆる薬剤を第一選択薬として推奨している。
無作為化試験では、この選択肢のさらなる改良はされていなかった。

【方法】 

我々は、何百万人もの患者を網羅した実測的データに基づいた多くの薬剤と結果における相対的有効性と安全性の評価を、固有バイアスを最小限に抑えた上で可能にした、実社会でのエビデンスのための包括的フレームワークを開発した。
このフレームワークを用いて、我々は6つの診療報酬データベース、3つの電子診療記録データベースにわたる系統的大規模研究を行い、すべての第一選択薬剤を比較した有効性における3つの主要評価項目(急性心筋梗塞、心不全による入院、脳卒中)と6つの副次評価項目の相対リスク、46の安全性評価項目を新規服用者群の下で評価した。
このフレームワークは、大規模傾向補正、大規模アウトカム制御設定、仮説の全面開示を用いて、残余交絡、出版バイアス、p値ハッキングに対処した。

【結果】 

490万人の患者を用いて、すべてのクラスとデータベース全体の結果を比較した22000の補正・傾向スコア調整ハザード比(HRs)を得た。
ほとんどの推定値は治療薬のクラス間で有効性に違いがないことが明らかになった。
しかし、サイアザイド系・非サイアザイド系利尿薬はACE阻害薬よりも優れた主要有効性を示した;初期治療中のリスクは、急性心筋梗塞(HR0.84、95%CI0.75-0.95)、心不全での入院(0.83、0.74-0.95)、脳卒中(0.83、0.74-0.95)であった。
安全性の分析結果もまた、ACE阻害薬よりもサイアザイド系・非サイアザイド系利尿薬の方が良好だった。
非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬は他の4つのクラスよりも有意に劣っていた。

【考察】 

この包括的フレームワークは、規模を拡大した観察医療科学を行うための新しい方法を示している。
今回の手法は、高血圧に対して単剤での治療を開始する際、現行のガイドラインにおいての各薬剤の有効性は同等で、例外としてサイアザイド系・非サイアザイド系利尿薬がACE祖以外薬よりも優れていることや非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬が劣っていることを裏付けている。

【資金提供】 

US National Science Foundation、US National Institutes of Health、Janssen Research&Development、IQVIA、South Korean Ministry of Health&Welfare、Australian National Health and Medical Research Council

※原題:Comprehensive comparative effectiveness and safety of first-line antihypertensive drug classes: a systematic, multinational, large-scale analysis

(394:1816-26、Marc A Suchard et al、November 16,2019)