肩こり

厚生労働省の「国民生活基礎調査(平成28年)」によると、私たちが日常生活で自覚している症状の上位ランキングは、男性では「①腰痛、②肩こり、③せきやたん」、女性では「①肩こり、②腰痛、③手足の関節の痛み」となっています。
多くの人が日頃から感じている肩こりですが、実は明確な定義はありません。
よくあることで仕方がないと軽く考えてしまいがちですが、原因によっては注意が必要な場合もあります。
肩こりのメカニズム
「肩こり」に一番関係する筋肉は、首の後ろから肩、背中にかけての僧帽筋と呼ばれる筋肉です。僧帽筋より深い位置には肩甲挙筋や頭・頚板状筋などがあり、これらの筋肉が重さ5.6kgの頭を支えています。重たい頭を支え、腕を動かしたりする際にも使われるため、肩の筋肉は常に緊張しています。
筋肉は緊張し疲れることで硬くなり、硬くなると筋肉内を通っている血管を圧迫して血液の循環が悪くなります。血流が減り、筋肉に充分な栄養が行き渡らなくなると筋肉疲労がたまります。そうなるとますます筋肉が硬くなり、「肩こり」を起こします。
原 因
長時間同じ姿勢をとること、猫背など姿勢が良くないこと、眼精疲労、運動不足、精神的なストレス、冷えなど肩こりの原因はさまざまです。
また、四十肩・五十肩、頸椎症、椎間板ヘルニアといった整形外科疾患や、更年期障害、緊張性頭痛、高血圧症、狭心症などの病気が原因で「肩こり」が起こっていることもあります。
明らかな原因疾患があれば、その治療が必要です。日常生活に支障をきたすほどの肩こりや、他に気になる症状を伴う場合は病院で診察を受けましょう。
予防法
★姿勢を改善する
姿勢が悪くなっていると感じたら、胸を張る、腰を伸ばすなどして意識して姿勢を正すようにしましょう。
長時間のデスクワークや運転など同じ姿勢が続く場合、合間で首や肩をまわしたり、伸びをしたり軽いストレッチを行いましょう。
 
★眼精疲労対策
眼精疲労は、パソコンやスマートフォンなどの画面を長時間見続けることでも起こります。
画面の見過ぎであれば時間を短くしたり、窓の外など遠くを眺めたり、ときどき目を休ませることが大切です。メガネやコンタクトレンズが合っているかどうかも眼科で定期的に確認をしてもらいましょう。
★身体を動かす
運動には血流をよくする効果もあります。
運動不足を感じている方はウォーキングやサイクリング、ラジオ体操などを行い、日ごろから肩こりを起こしにくい体づくりを心がけましょう。
 
★肩や首を冷やさない
夏場のエアコンなど冷気はなるべく避け、蒸しタオルやカイロなどを使って温めて筋肉の血行を良くし疲労を取りましょう。
38~40℃くらいのぬるめのお湯にゆったりとつかる入浴も効果的です。
肩こりの原因によって予防法も違ってきます。自分の肩こりの原因や特徴を知った上で、より効果的な対策をとるようにしましょう。