ゲノム編集食品って?

「ゲノム編集食品」という言葉を聞いたことはありますか?
ゲノムとは、遺伝子の配列の集合体全体のことで、生物の設計図のようなものです。その遺伝子の狙った部分を操作するゲノム編集の技術で開発した食品のことを「ゲノム編集食品」といいます。2019年10月1日より流通・販売に向けた厚生労働省への届出制度が開始しました。
「遺伝子組み換え」と「ゲノム編集」どう違う?
似たような言葉の「遺伝子組み換え食品」は聞いたことがある方が多いと思います。
こちらは生物や植物などが本来持っている遺伝子に、別の遺伝子を組み込んで、新たな性質を持たせているものです。例えばじゃがいもの場合、害虫やウイルスに強い種類を栽培することができます。そうすることで、農薬の散布や害虫駆除といった工程を省略することができ、農家の負担が減り、作物の生産量も増加し、食糧問題の改善も期待できます。
現在、安全性が確認され日本で流通・販売が許可されているものは食品8作物、添加物7種類です。これらの遺伝子組み換え作物・添加物が使用されている食品、または混入している可能性がある食品は「遺伝子組換え」「遺伝子組換え不分別」といった表記が義務付けられています。加えて、厚生労働省の厳しい審査を通過したものだけが流通します。
つまり、「遺伝子組み換え」は新しく遺伝子を組み込むという自然界では起こりえない変化なのです。
これに対し「ゲノム編集食品」は、攻撃性を抑え養殖しやすいサバ、アレルギー物質が少ない卵、血圧を下げる成分が多いトマト、身の量が多いマダイなどが開発されています。
これらはもともと持っている遺伝子を切断して操作するだけなので、自然界で起こる突然変異と同じような変化をすることから安全性は高いと主張する研究者が多くいます。そのため安全性の審査も不要で、ゲノム編集食品であることの表示は任意と決定されました。各国でゲノム編集食品の扱いは様々ですが、輸入品についても同様の扱いです。
私たちの生活を豊かにしてくれるものになると思いますが、目的でない遺伝子を壊してしまう恐れもありうるため、どのような影響があるのかまだまだ解明されていないことが多い食品でもあります。
購入する立場の私たちからすると、ゲノム編集食品なのかそうでないのか、知る権利・選ぶ権利は保障されたいところです。まだ流通していないため、どのような表示がされるのか、あるいはされないのかなど定かでないことがたくさんありますが、ゲノム編集は最先端の技術として開発が急速に進んでいます。
近いうちに食卓に並ぶ食品であることは間違いないと思います。今のうちから関心を寄せておきましょう。