こわい頭痛の見分け方

頭痛はありふれた病気です。頭痛のほとんどは、辛いけれども命にはかかわらない「こわくない頭痛」ですが、一部には放っておくと大ごとになる「こわい頭痛」があります。大事なのは、どうすれば「こわい頭痛」を見分けられるのかです。
頭痛には、大きく分けて二通りあります。一次性の頭痛、つまりいわゆる頭痛持ちの頭痛と、病気によって起こる二次性の頭痛です。

こわくない(けれども辛い)、頭痛持ちの頭痛(一次性の頭痛)
代表的なものとして、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などがあります。

片頭痛は、ズキンズキンと痛むタイプの頭痛で、発作的に起こり吐き気を伴ったりする頭痛です。身体を動かすのが辛くなり、光や音の刺激で悪化したり、匂いに敏感になったりします。緊張型頭痛は、肩こりなどの緊張に伴う頭痛です。頭痛の中で最も多いもので、重苦しく、締め付けられる感じがする頭痛です。また、ストレスの影響が大きく、パソコンを長時間使用する人や、運転手さんにもよくみられます。群発頭痛は、頭痛がある期間に集中して、片目の奥あたりに起こるもので、七転八倒するほどのたまらない痛さです。夜中に激痛で目覚めたりすることもあります。男性に多いのも特徴です。

これらは頭痛薬などの治療でコントロール可能です。いつもの頭痛がたまにある程度で、そのつど鎮痛薬で治まるようなら問題はないでしょう。

こわい頭痛(二次性の頭痛)
◆脳腫瘍
脳腫瘍による頭痛は、突然に起こることはあまりなく、数ヶ月から数週間かけて徐々に強くなっていきます。頭痛は朝方に強くなることが多く、頭痛で目覚めたり、起きてしばらくすると改善することがあります。頭痛に手足のシビレやマヒ、眼の見えにくさ、けいれんなどの神経症状を伴うことがあります。

◆脳動脈解離
脳動脈の解離は、急性に後頭部の比較的強い痛みを生じます。大抵は何事もなく数ヶ月で回復しますが、動脈瘤や血管の狭窄をきたし、まれにくも膜下出血や脳梗塞を起こすことが知られています。

◆脳梗塞・脳出血
脳を囲む硬膜が刺激を受けるために頭痛がします。硬膜に囲まれた脳内の圧が変化しなければ頭痛は起こらないことも多いです。薬により血流再開を試みたり開頭手術により血腫を抜き取ったりします。

◆髄膜炎
発熱と頭痛が主要な症状になることが多く風邪の症状に似ています。また風邪の症状から頭痛を呈し始めることもあります。吐き気や後頭部から首すじが硬くなる症状(首が回せなくなる)が特徴です。また感染症の特徴として夕方ひどくなり朝多少軽快することもあります。

◆高血圧
重度の高血圧や、原発性アルドステロン症や褐色細胞腫で高血圧になっている場合などは、脈拍にあわせてズキズキするような痛みが起こることがあります。原因となっている病気、高血圧の治療が優先されます。

◆くも膜下出血
「こわい頭痛」の代表格は、くも膜下出血です。典型的な症状は「今まで経験したことがない突然の激しい頭痛」で、吐き気を伴うことが多く、意識を失うこともあります。緊急手術が必要です。ただし頭痛があまり目立たないこともあり注意が必要です。

◆副鼻腔炎
主に前頭部や顔面に痛みを訴えます。眉間やほお骨を叩くと痛い場合もあります。鼻水、鼻づまりを呈することがあります。急性期には頭痛が出ることが多いですが、慢性期には頭痛は生じにくくなります。

◆慢性硬膜下血腫による頭痛
転倒して頭を打った後、忘れたころに頭痛が起きることがあります。首を左右に振ったときなどに強い痛みを感じることがあります。重い感じがするだけのこともあります。また認知症のような症状が出る場合や歩行障害をきたすこともあります。じわりじわりと血腫ができることが多いので症状が出るまでに数ケ月かかることもあります。

◆急性緑内障
目が赤くなり、急にかすんで見えにくくなり、目の奥から頭にかけてガンガンします。吐き気を伴うこともあります。高齢の女性に多くみられます。目の充血がある場合は眼科受診が勧められます。

このほか、低酸素血症、帯状疱疹、頭蓋骨・頸・耳・鼻・歯・口・心の病気によるものなどがあります。あなたの頭痛が、今までなかったような頭痛や、だんだん強くなるような頭痛であれば、もしかすると危険な「こわい頭痛」かも知れません。そのような場合は、脳神経外科、神経内科などで診断を受けるようにしましょう。