アンチエイジング医学とは、「病気の治療」ではなく、「健康な人のさらなる健康」を指導するというプラスの医療の考え方を持つ予防医学です。
健康とは、病気でない、弱っていないということではなく、肉体的にも精神的にも、そして社会的にもすべてが満たされた状態にあることをいいます。
今までは仕事一筋で生活してきた男性が、退職後の喪失感によって引きこもるということも多かったのですが、最近は自己実現のために趣味やスポーツ、社会参加や生涯学習、友人と過ごすことを生きがいとする高齢者が増えてきています。
老後の生きがいを持つためには、地域社会や友人・仲間とのつながり、自分の興味・関心を大切にしていくことが必要です。
75歳以上の高齢者へのアンケート結果で、「働くのは体によい、老化を防ぐ」「面白い、自分の活力になる」という回答も多くみられ、仕事も一つの生きがいの方向性となりえるのではないかと示されています。
身体機能の低下を防ぐには、適度な運動と適切な食生活、十分な休養、節酒、禁煙、歯と口腔の健康の維持など、生活習慣の改善が必要です。
将来的に身体機能低下につながるサルコペニアやフレイルの予防には、筋肉量や筋力の維持が必要とされています。
筋肉量と筋力を維持するためには、タンパク質を十分に摂取することと筋力トレーニングとを組み合わせることが有効であり、身体機能低下の予防には、運動療法と栄養療法とを併用することが有用です。
普段から身体を動かし、運動習慣を持つことは、がん、糖尿病、高血圧、脂質異常症、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病や、これらの疾患から引き起こされる心臓病、脳卒中などで死亡するリスクを減らすことができます。
また、加齢に伴うロコモティブシンドローム、認知症などの生活機能低下をきたすリスクを減らしアンチエイジングにも繋がります。
まずは1日30分以上が目標です。
無理なら1回10分を3回に分けてもよいです。
タンパク質の1日の必要量は、筋肉が衰えてきたら体重1 kgあたり1.2~1.5g、体重50kgの人なら60~75gです。
●運動は行うことで良い面もありますが、誤った方法で行えば思わぬ事故や怪我へとつながりますので、正しい知識を持ち、安全に行うようにしましょう。
🍀身体を動かすときは少しずつ時間や運動強度を増やすようにして、無理をしない。
🍀体調が優れないときは、運動は中止する。
🍀途中で体調の異変を感じたらすみやかに中止する。緊急時は医療機関の受診や救急搬送を行う。
🍀生活習慣病やその他の持病がある場合は、運動を開始する前に主治医や健康運動指導士などの専門家に相談する。
🍀服装や靴は体格や活動内容、環境や気候に合ったものを選ぶ。
🍀運動前後には準備運動・整理運動を行う。
🍀自分の体力やレベルに合った運動の種類・強度・時間を選択する。
🍀正しいフォームで行う。
🍀膝や腰に痛みがある場合は、腰や足への負荷の少ない運動を行う。