睡眠の加齢変化

歳とともに眠れなくなると感じている人が多いかもしれませんが、実は逆で、平成29年国民栄養・健康調査によると、40歳をこえると、男女ともに年齢が上がるにつれて睡眠時間6時間以上の人の割合は増え、また睡眠時間も長くなっていることがわかります。
睡眠時間6時間以上の人の割合
 年 代   男性(%) 女性(%)
30~39歳   56.4    62.3
40~49歳     51.6    47.6
50~59歳    55.1    48.5
60~69歳    68.5    54.3
70歳以上          78.3           68.9
また睡眠で休養が十分取れていないと感じる人の割合も60歳以上の人では、59歳以下の人と比べて少なくなっています。
では、なぜ眠れなくなったと感じるのでしょうか?
高齢者の睡眠の変化
①深い眠りの減少
睡眠には、浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム睡眠)があります。年齢が上がるに連れて、レム睡眠が増え、ノンレム睡眠が減ることがわかっています。個人差はありますが、20~30歳代に比べると50歳代以降では、1/2~1/3になるとも言われています。レム睡眠は脳が活動状態にあるため、少しの物音、光、温度の変化や尿意などで目が覚め、熟睡できないと感じることが増えます。
②体内時計の乱れ
私たちのからだには、睡眠、血圧、体温などのリズムをコントロールする体内時計があります。睡眠のリズムには、体内時計と連動して睡眠ホルモンと言われるメラトニンが影響しています。メラトニンは、朝.日中に減少し、夜間に増えることで睡眠に誘う働きをしています。
ところが中高年になると夜間のメラトニンの分泌量が減少し、そのため体内時計が乱れ、睡眠障害の原因となることがあります。
良い睡眠のために
◎深い眠りを増やす
1.起きている時間を長くする
することがないからといって早い時間から寝床に入るのではなく、本当に眠くなってから寝るようにしましょう。
2.活動量を増やす
1日の活動量が少ないと深い眠りも減少します。日中は出かけたり、軽い運動などをしてみましょう。
3.生活習慣病をきちんと管理する
糖尿病や高血圧があると睡眠が不十分になりがちです。また睡眠が不足していると、血糖や血圧のコントロールが悪くなるという調査結果もあります。
◎体内時計をリセットする
1.太陽の光を浴びる
日中に太陽の光を浴びると夜間のメラトニンの分泌が増え、睡眠に入りやすくなります。
2.運動は夕方に
夕方に運動して体温を上げると夜間にかけて体温が下がり、睡眠に入りやすくなります。
3.食事は規則正しく
毎日同じ時間に食事を摂ることで体内時計のリズムを整えましょう。
4.夜間の室内照明は暗めにする
夜遅くまで強い照明を浴びていると、メラトニンの分泌が減少します。
特殊な睡眠障害
睡眠時無呼吸症候群、レストレスレッグス症候群、周期性四肢運動障害、レム睡眠行動障害など専門施設での検査が必要な睡眠障害である場合もあります。これらの疾患には、それぞれ治療方法があります。これらが疑われる場合には、専門医に相談しましょう。
☆健康なからだとこころでシニアライフを楽しむため、より良い睡眠がとれるように心がけましょう。