スマホで難聴の危険

WHO(世界保健機関)は、スマートフォン(スマホ)などの携帯音楽機器の利用や娯楽施設などで長時間、大音量の音楽を聴き続けると聴覚障害になる恐れがあると発表しました。
世界中では約3億6000万人が日常生活に支障のある難聴を抱えており、そのうち3400万人が子どもです。子どもたちを聴覚障害から守るため、正しい情報と対策が必要です。
耳の構造と働き
・外耳・・・音波を捉え、中耳に伝える
・中耳・・・空気の振動の音波を、機械的な圧力波に変換し、内耳のリンパ液に伝える
・内耳・・・この圧力波を脳で認識できるよう音声信号に変換する耳が聞こえるしくみ
音は空気中を移動する目に見えない振動です。これを音波といいます。
耳は音を捉えると、それを脳が理解できる信号に変えて伝えます。
1.音が外耳道に入る
音波が外耳道を通って鼓膜に当たります。
2.鼓膜と耳小骨が振動する
音波は鼓膜と中耳内の3つの骨(耳小骨)を振動させます。
3.リンパ液が内耳の中で振動する
振動が伝わると、らせん状の内耳(蝸牛)の中にあるリンパ液が振動し、蝸牛内の小さな有毛細胞を動かします。有毛細胞は、感知した動きを化学信号に変換し、聴神経に伝えます。
4.聴神経が脳に情報を伝える
聴神経がこの情報を電気信号によって脳に伝え、音として認識されます。
難聴の原因
 
子どもの難聴には、慢性中耳炎、髄膜炎、外傷、耳毒性薬剤によるものなど様々な原因がありますが、今回のWHOの発表によると、約11億人の若者がスマホの利用や娯楽イベント等で大音響に晒されることにより深刻な難聴のリスクがあるということです。
ゲームセンターなどの娯楽施設やライブハウスなどに長時間いると大音量の音楽などにずっと晒されていることになり、耳への負担が大きくなります。
また、ヘッドフォンの使用や大音量で音楽を聴くことも音の波を直接受けることになり、耳への負担が大きいと言えます。
聴覚を保護するために
 
○騒音が大きい場所などでは耳栓などを使用する
○大型、大音量のスピーカーから適切な距離をとる
○ヘッドフォンなどを長時間使用することは避ける
今回のWHOの勧告では、85デシベル(dB)で8時間、100dBで15分を超えると危険としています。音量を下げたり、休憩をとるようにしましょう。
また日常的なスマホの利用は1日1時間までにしましょう。
騒音への暴露を減らし耳に物を入れないようにするなど正しく耳のケアをすることで多くの人が難聴を防ぐことができます。
*デシベル(dB)・・・音の強さの単位の一つ、人間の耳に感じる最小値が0、人間の耳が耐えられる最大値が130、音圧が10倍(音の強さは100倍)になるごとに20dB増える。85dBは電車の車内くらい、100dBは電車が通る時のガード下くらいの音量とされています。