◆◆多剤耐性結核における治療成功事例の相互関連: 個々の患者データのメタ解析◆◆

【背景】 

多剤耐性結核の治療転帰は乏しいままである。我々は、多剤耐性結核患者において、薬物療法での治療成功例と死亡例の関連と最適薬剤数・治療期間を予測するために調査を行った。

【方法】 

この個々の患者データのメタ解析において、我々は2009年1月1日から2016年4月30日までに発表された、解析に適している可能性のある観察研究・実証研究を確認するため、MEDLINE、Embase、Cochrane Libraryを検索した。我々はまた、2009年以後に発表された多剤耐性結核菌の治療の全ての系統的レビューからの参照リストも調査した。少なくとも18歳より上の成人を含むコホートにおいて行われ、治療転帰(治療完了[成功]・失敗・または再発)の最後まで含んだ独自の結果を報告した研究を適格とした。我々は、治験責任医師から提供された、臨床的特徴・治療内容・転帰について評価している適格試験からの匿名化された個々の患者データを使用した。傾向スコアが適合した一般化混合効果ロジスティックまたは線形回帰を用いて、薬剤数・治療期間だけでなく治療中の成功例・死亡例や多剤耐性結核の治療に現在用いられている特定の薬剤に対する補正したオッズ比やリスク差を計算した。

【結果】 

25か国の50の試験から得られた12030人の患者のうち、7346人(61%)は治療成功し、1017人(8%)は失敗もしくは再発し、1729人(14%)は死亡した。治療失敗や再発と比較して、成功例はリネゾリド(調整リスク差0.15、95%CI 0.11~0.18)、レボフロキサシン(0.15、0.13~0.18)、カルバペネム類(0.14、0.06~0.21)、モキシフロキサシン(0.11、0.08~0.14)、ベダキリン(0.10, 0.05~0.14)、そしてクロファジミン(0.06, 0.01~0.10)の使用と正の関連を示した。死亡率の減少とリネゾリド(-0.20, -0.23~-0.16)、レボフロキサシン(-0.06, -0.09~-0.04)、モキシフロキサシン(-0.07, -0.10~-0.04)、ベダキリン(-0.14, -0.19~-0.10)の使用の間には有意な関連があった。注射剤を使用しないレジメンと比較して、アミカシンは若干有効性がみられたが、カナマイシンとカプレオマイシンは悪い転帰と関連があった。残りの薬剤は、転帰の改善との関連はわずかか全くなかった。ほとんどの薬剤で、in-vitroで耐性があったにもかかわらず使用された場合、治療転帰は有意に悪化した。有効な薬剤の最適使用数は、初期段階では5種類、維持期では4種類のように思われた。これらの調整した解析において、I2解析シミュレーションに基づく異質性(バラツキ)は、薬物の数および期間の分析では比較的低いにも関わらず、特定の薬剤の推定値の半分で高かった。

【考察】 

これらのデータの観察からの特徴により推測は制限されるが、多剤耐性結核の治療において、リネゾリド、最近開発されたフルオロキノロン、ベダキリン、クロファジミン、そしてカルバペネムの使用により治療結果が有意に改善した。これらの知見は、この疾患の治療におけるこれらの薬剤の最適な組み合わせと治療期間を確認するための試験の必要性を強調している。

(392;821-34:Nafees Ahmad et al:SEPTEMBER 18,2018)

※文章中に出てきた薬剤のうち、国内で発売されている成分の商品名は以下の通り

リネゾリド:「ザイボックス」(ファイザー)

レボフロキサシン:「クラビット」

モキシフロキサシン:「アベロックス」(バイエル)

ベダキリン:「サチュロ」(ヤンセン)

クロファミジン:「ランプレン」(サンド)

アミカシン:「アミカシン」(日医工)

カナマイシン:「カナマイシン」(明治製菓)