乳児用液体ミルク

液体ミルクは牛乳などを原料とし、「乳幼児に必要な栄養素を加え液状にしたもの」で、粉ミルクのようにお湯に溶かす必要がなく、封を開ければすぐに母乳の代わりに乳幼児に飲ませることができます。欧米諸国では一般的に販売されています。

阪神淡路、東日本と大規模災害が起こる度に、清潔な水の入手や哺乳瓶の消毒が困難になり、乳児用液体ミルクの販売を求める声が上がっていました。熊本地震の時には海外からの救援物資として乳児用液体ミルクが届けられ、無償で提供されてとても役に立ったそうです。
また東京都は、大手流通業者と災害時には乳児用液体ミルクを海外から緊急輸入してもらうという提携を結んでいて、今年7月の西日本豪雨の際には岡山県倉敷市の依頼で緊急輸入され、2100個届けられたそうです。また愛媛県の依頼でも540個が届けられたとのことです。

日本ではこれまで液体ミルクが認められていなかったため(禁止されているわけではありませんが)、製造販売されていませんでした。そこで、関連省庁が連携して液体ミルクを国内で製造販売するための安全基準や表示許可基準を定める手続きに取り組み、今年8月に必要な省令などが改正施行され、この基準に適合した乳児用液体ミルクを国内で製造販売することが可能となりました。
この改正を受けて国内メーカーも乳児用液体ミルクの開発に取り組み、製造できるようになったとの報道がありました。来春には国内初の液体ミルクが店頭に並ぶことが期待されます。
液体ミルクの利点
*夜間や共働き家庭で時間が限られている時、保育者の体調が優れない時、さらには母親が不在の時にも簡便かつ安全に授乳できる。
*哺乳用のお湯(70℃以上)が不要で授乳に必要な所持品が少なくなることや調乳を行わずにすむことから、簡便に授乳することができる。
*地震などによりライフラインが断絶した場合でも、水や燃料などを使わずに授乳することができるため、国内の流通体制が整い使用方法やリスクに関して十分に理解されることを前提として、災害時の備えとしても活用が可能である。
*乳児を伴って来日する外国人の利便にも寄与する。
今後の課題
*値段が高い…粉ミルクの2倍弱くらいになるのではないか。
*赤ちゃんの好み…温度、味の好みによって飲みたがらない場合もある。
*賞味期限が短い…製造後6ヶ月~1年、流通過程を考慮すると店頭での期限はさらに短くなる。

共働き家庭などでの育児軽減とともに、災害時などの需要が大きいと考えられ、今後は災害時の救援物資としても自治体などでの備蓄が進むことが期待されます.