脳のアンチエイジング

記憶力は20代をピークに加齢とともに減退しますが、記憶力以外の能力は様々な経験から学ぶことで20代以降も成長し、知能全体では50歳頃まで伸び続けるといわれています。

しかし、多くの人は60歳頃になると記憶力に加えて判断力・適応力などに衰えがみられるようになり、脳の機能の老化が始まります。

記憶力の老化が進行しもの忘れが次第に多くなるのもこの時期ですが、このもの忘れは加齢に伴う自然なもので、認知症の症状ではありません。

~間違えやすい「認知症の物忘れ」と「加齢による物忘れ」~

◎認知症のもの忘れ

・体験全体を忘れる

・日常生活に支障がある

・新しい出来事を記憶できない

・ヒントを与えられても思い出せない

・時間や場所などの見当がつかない

・もの忘れに対して自覚がない

加齢によるもの忘れは、体験の一部を忘れるケースが増えても、もの忘れにより日常の生活に混乱をきたしたりするようなことはありません。

しかし、ここで安心するわけにはいきません。
高齢者の中には、認知症ではないけれど、ごく普通のもの忘れに比較すると、その頻度や程度がひどい人〈軽度認知障害 Mild Cognitive Impairment(MCI)〉がいます。
このような人は、アルツハイマー型認知症になる可能性が高いと言われています。

~もの忘れを予防する生活習慣~

①食習慣……野菜・果物(ビタミンC、E、βカロチン)をよく食べる。魚(DHA、EPA)をよく食べる。赤ワイン(ポリフェノール)を飲む。

脳の活性に良いと言われています。日本酒もよいとの報告がありますが、アルコールはほどほどにしましょう。

②運動習慣…週3日以上の有酸素運動をする。

全身の血流をよくして、細胞を活性化します。散歩でリフレッシュするのが手軽です。周囲の風景や出会いを楽しみに散歩しましょう。

③対人接触…人とよくおつきあいをする。

人とおしゃべりしたり、趣味を一緒にしたり、他人と交わることは、もの忘れの最大の予防法です。

④知的行動習慣…文章を書く・読む、ゲームをする、博物館に行くなど。

もの忘れの予防という目的ではなく、人生の楽しみとして熱中できるとよいでしょう。

⑤睡眠習慣…6時間半~7時間半の睡眠・30分未満の昼寝・起床後2時間以内に太陽の光を浴びる。

脳を若く保ち、記憶力を維持するには最適な睡眠を心がけることが大切です。寝すぎて1日のリズムが崩れてもよくありません。

脳の状態を良好に保つためには、食習慣や運動習慣を変えることが、認知機能を重点的に使うためには対人接触を行うことや知的行動習慣を意識した日々を過ごすことが重要だと言われています。
毎日の生活に取り入れ、楽しみながら実践してみてください。