◆◆ICUにおける重度の代謝性酸血症患者に対する 重炭酸ナトリウム治療(BICAR-ICU)◆◆

【背景】

急性酸血症は重病である間にしばしば認められる。
重度の代謝性酸血症治療のための重炭酸ナトリウム(sodium bicarbonate:重曹)注射は使用可能な治療選択肢だが、その臨床アウトカムにおける効果を調査した研究が今までないため議論が残っている。
それゆえに我々は、重病患者において重炭酸ナトリウム点滴がこれらのアウトカムを改善するかどうか評価することを目的とした。

【方法】

我々は、多施設オープンラベル無作為化比較対照第3相試験を行った。フランスの26の集中治療ユニット(ICU)から、その地域の治験責任医師が試験に適格な患者をスクリーニングした。
我々は、ICUに収容されて48時間以内で重度の酸血症(pH 7.20以下、PaCO245mmHg以下、重炭酸ナトリウム濃度20mmol/L以下)があり、トータルSOFAスコア(a total Sequential Organ Failure Assessment score)が4点以上または動脈の乳酸濃度が2mmol/L以上である成人患者(18歳以上)を試験に含めた。
機密ウェブプラットフォームを介する最小化層別無作為化により、患者を重炭酸ナトリウム治療なしの群(対照群)と動脈pHが7.30を上回って維持できるように4.2%重炭酸ナトリウムの静脈点滴を受ける群(重炭酸群)のいずれかへと割り当てた(1:1)。
我々のプロトコールでは、どちらの点滴量も30分間に125~250mLの範囲内で、試験登録から24時間以内の最大量1000mLとすることを勧告した。
無作為化基準は前もって指定した3つの層(年齢、敗血症の状態、the Acute Kidney Injury Network [AKIN]スコア)の中で層別化された。
主要アウトカムは、28日までのあらゆる原因による死亡と7日目における少なくとも1つの臓器不全があることを複合させたものとした。
全ての解析は、無作為化を受けた患者すべてを含めた包括解析(ITT)集団のデータによってなされた。
この研究はClinicalTrials.gov、ナンバーNCT02476253として登録されている。

【結果】

2015年5月5日から2017年5月7日の間に、総数で389名の患者をITT解析集団へと登録した(対照群194名、重炭酸群195名)。主要アウトカムは対照群患者194名中138名(71%)と重炭酸群195名中128名(66%)で起こった(絶対差推定値-5.5%、95% CI -15.2 to 4.2;p=0.24)。28日時点の生存率のカプラン・マイヤー推定値(the Kaplan-Meier method estimate)は、対照群と重炭酸群の間に有意差はなかった(46%[95%CI 40-54] vs 55%[49-63];p=0.09)。
前もって指示されたAKINスコア2または3の患者層において、28日までの生存のカプラン・マイヤー推定値は、対照群と重炭酸群の間に有意差がみられた(63%[95%CI 52-72] vs 46%[35-55];p=0.0283)。代謝性アルカローシス、高ナトリウム血症、そして低カルシウム血症が対照群よりも重炭酸群でより多く認められ、致死的な合併症の報告はなかった。

【考察】
重度の代謝性酸血症患者において、重炭酸ナトリウムは主要複合アウトカムにおける効果がみられなかった。
しかしながら、重炭酸ナトリウムは急性腎傷害患者の事前に定義された層における主要複合アウトカムと28日までの死亡を減少させた。