◆超急性原発性脳内出血のためのトラネキサム酸(TICH-2) :国際的無作為化プラセボ対照第3相優越性試験◆

【背景】
トラネキサム酸(tranexamic acid)は外傷や分娩後の出血による死を防ぐことができる。我々は、トラネキサム酸が血腫の拡大を抑えて、成人における脳内出血による脳卒中のアウトカムを改善するかどうか評価することを目的とした。

【方法】 我々は、12ヵ国の124病院の急性脳卒中ユニットから脳内出血を起こした成人を対象に国際的無作為化プラセボ対照試験を実施した。試験参加者は、トラネキサム酸1gをボーラス静注後にトラネキサム酸1gを8時間かけて点滴静注、あるいはプラセボのいずれかを投与する群へと無作為に振分けられた(1:1)。無作為化は、安全なウェブサイトを介してリアルタイムに中央で行われ、国および鍵となる予後因子の最小化について層別化された。治療の割り当ては、患者、アウトカム評価者、および試験に関わる他のすべての医療従事者に隠されていた。主要アウトカムは90日時点の機能状態(functional status)として、層別化と最小化基準について調整した順序ロジスティック回帰を用いた判定基準書(the modified Rankin Scale:mRS)の変化で測定した。分析はすべて包括解析(ITT)に基づいて行われた。この試験はthe ISRCTN registry、ナンバーISRCTN93732214に登録されている。

【結果】 2013年3月1日から2017年9月30日までの間に、我々は2325名の参加者を集めた。1161名の参加者はトラネキサム酸を、1164名はプラセボを投与され、各治療群はベースライン時のバランスがよくとれていた。主要アウトカムは2307名(99%)の参加者で評価された。主要アウトカムである90日時点の機能状態にグループ間の有意な差はみられなかった(補正オッズ比[aOR] 0.88、95%CI 0.76-1.03、p=0.11)。7日までの死亡例はトラネキサム酸群が少なかった(トラネキサム酸群の死亡101名[9%] vs プラセボ群の死亡123名[11%];aOR 0.73、0.53-0.99、p=0.0406)が、90日時点での症例死亡率に差はなかった(250名[22%] vs 249名[21%];補正ハザード比0.92、95%CI 0.77-1.10、p=0.37)。2日目(379名[33%] vs 417名[36%])、7日目(456名[39%] vs 497名[43%])、そして90日目(521名[45%] vs 556名[48%])と、プラセボ投与群よりもトラネキサム酸投与群の方が重篤な有害事象が少なかった。

【考察】
脳内出血後90日間の機能状態は、早期死亡や重篤な有害事象の減少にも関わらずトラネキサム酸投与患者とプラセボ投与患者の間に有意な差はみられなかった。臨床的に有意な治療効果を確証あるいは反証するために、より大規模な無作為化試験が必要である。

(391;2107-15:Nikola Sprigg et al:MAY 26,2018)

※トラネキサム酸は代表的なものとして「トランサミン」の商品名で第一三共から発売されている。