◆◆慢性閉塞性肺疾患での極細粒子吸入薬3剤併用 vs気管支拡張薬2剤併用(TRIBUTE)◆◆

【背景】

 
慢性閉塞性肺疾患(COPD)において、気管支拡張薬の2剤併用に対する吸入コルチコステロイド、長時間作用型ムスカリン遮断薬、長時間作用型β2作動薬からなる吸入3剤併用療法の相対的リスク-ベネフィットについてのエビデンスは乏しい。我々は、52週間にわたる治療で中等度から重度のCOPD増悪の割合に関して、プロピオン酸ベクロメタゾン(beclomethasone dipropionate)、フマル酸ホルモテロール(formoterol fumarate)、グリコピロニウム(glycopyrronium)の3剤併用単一吸入器(BDP/FF/G)とインダカテロール(indacaterol)+グリコピロニウムの気管支拡張薬2剤併用単一吸入器(IND/GLY)を比較することを目的とした。

【方法】

 
この無作為化並行群間二重盲検ダブルダミー試験は17ヵ国の187施設で行われた。適格とされた患者は症候性のCOPDがあり、重度または極めて重度の気流制限を伴い、前年に少なくとも1回の中等度または重度の増悪があり、吸入による維持投薬を受けている者とした。IND/GLY(85㎍/43㎍)を1日1回吸入する2週間の導入期間後、患者は自動応答技術システムを用いて無作為に割り付けられ(1:1)、極細粒子BDP/FF/G (87㎍/5㎍/9㎍)2吸入を1日2回またはIND/GLY(85㎍/43㎍)1日1回吸入のいずれかによる治療を52週間受けた。無作為化は、国や気流制限の重症度によって層別化された。主要評価項目は、少なくとも1回は試験薬の投与を受け、ベースライン以降に少なくとも1回は有効性評価を受けた全ての無作為化患者における、52週間の治療期間中の中等度または重度のCOPD増悪の割合とした。この試験はClinicalTrials.gov、ナンバーNCT02579850に登録されている。

【結果】

 
2015年5月29日から2017年7月10日の間に、患者1532名がBDP/FF/G(n=764)またはIND/GLY(n=768)を投与された。中等度から重度増悪の割合は、BDP/FF/G群が0.50/患者/年(95%CI 0.45-0.57)およびIND/GLY群が0.59/患者/年(0.53-0.67)となり、BDP/FF/G に有利な率比0.848(0.723-0.995、p=0.043)となった。有害事象は、BDP/FF/Gを投与された患者764名のうち490名(64%)とIND/GLYを投与された患者768名のうち516名(67%)において報告された。肺炎は、BDP/FF/G 投与患者の28名(4%)とIND/GLY投与患者の27名(4%)でみられた。治療に関連した重篤な有害事象が各群に1例ずつ、BDP/FF/G 投与患者で排尿障害、IND/GLY投与患者で心房細動がみられた。

【考察】

 重度または極めて重度の気流制限を伴い、維持療法を行っているにもかかわらず増悪歴のある症候性COPD患者において、極細粒子BDP/FF/GはIND/GLYと比較して肺炎のリスクを増加させることなく、中等度から重度増悪の割合を有意に減少させた。

(391;1076-84:Alberto Papi et al:MARCH 17,2018)

※上記本文中に登場する各吸入薬は単剤としてプロピオン酸ベクロメタゾンが「キュバール」(大日本住友)、フマル酸ホルモテロールが「オーキシス」(アストラ・Meiji)、グリコピロニウムが「シーブリ」(ノバルティス・Meiji)、インダカテロールが「オンブレス」(ノバルティス)の商品名で発売されており、インダカテロール+グリコピロニウムの合剤が「ウルティブロ」の商品名でノバルティス・Meijiから発売されている。