◆プラチナ治療で局所進行または転移性尿路上皮がん 患者でのアテゾリズマブ vs 化学療法(IMvigor211)◆

【背景】

プラチナベースの化学療法で進行した後の局所進行または転移性尿路上皮がん患者には選択肢がほとんどない。我々は、この患者集団におけるアテゾリズマブ(atezolizumab)(抗programmed death-ligand 1 [PD-L1]) vs 化学療法の安全性と有効性を評価することを目的とした。

【方法】 

我々はこの多施設オープンラベル第3相無作為化対照試験(IMvigor211)を、欧州、北米、およびアジア太平洋地域を中心とする217の学術医療施設および地域オンコロジー診療所において実施した。プラチナベースの化学療法後に進行した転移性尿路上皮がん患者(18歳以上)を、アテゾリズマブ1200mgまたは化学療法(医師の選択:ビンフルニン[vinflunine]320mg/m2、パクリタキセル[paclitaxel]175 mg/m2、あるいはドセタキセル[docetaxel]75 mg/m2)のいずれかを3週間毎に静脈注射する群へと対話型音声およびウェブ応答システムを介して置換ブロックデザイン(ブロックサイズ4)で無作為に割り当てた(1:1)。無作為化は、PD-L1発現(発現が腫瘍浸潤免疫細胞の1%未満[IC0]または1%から5%未満[IC1] vs 腫瘍浸潤免疫細胞の5%以上[IC2/3])、化学療法のタイプ(ビンフルニンvs タキサン類)、肝転移(有vs 無)、および予後因子数(0 vs 1、2または3)で層別化された。患者と治験責任医師は割り当て群を知らされていた。患者、治験責任医師、および出資者はPD-L1発現状態をマスクされた。全生存の主要エンドポイントは、事前に明示された集団(IC2/3、その後IC1/2/3、続いて包括解析[ITT]集団)で階層的に試験された。進行中であるが参加者を募集していないこの試験は、ClinicalTrials.govのナンバーNCT02302807に登録されている。

【結果】 

2015年1月13日から2016年2月15日の間に、我々は198施設から931名の患者をアテゾリズマブ投与群(n=467)または化学療法群(n=464)へと無作為に割り当てた。IC2/3の患者集団(n=234)において、アテゾリズマブ群および化学療法群の間に全生存の有意差はみられず(中央値11.1ヵ月[95%CI 8.6-15.5;n=116] vs 10.6ヵ月[8.4-12.2;n=118];層別ハザード比[HR]0.87、95%CI 0.63-1.21;p=0.41)、従ってそれ以上の正式な統計分析は不可能であった。確認された客観的奏功率はIC2/3患者集団における治療群間で類似しており、アテゾリズマブ群の客観的奏功は評価可能な113名中26名(23%)に対して化学療法群では116名中25名(22%)であった。奏功期間は、アテゾリズマブ群の方が化学療法群よりも数字的には長かった(中央値15.9ヵ月[95%CI 10.4-推算不能] vs 8.3ヵ月[5.6-13.2];HR 0.57、95%CI 0.26-1.26)。包括解析集団では、アテゾリズマブ投与群患者で化学療法投与群患者よりもグレード3~4の治療に関連した有害事象が少なく(患者459名中91名[20%] vs 443名中189名[43%])、有害事象による治療中断も少なかった(34名[7%] vs 78名[18%])。

【考察】

 

PD-L1過剰発現(IC2/3)しているプラチナ治療抵抗性の転移性尿路上皮がん患者において、アテゾリズマブは化学療法と比較して有意な全生存の延長との関連がみられなかった。しかしながら、アテゾリズマブの安全性プロファイルは化学療法と比較して有益であり、包括解析(ITT)集団の予備的分析では、この患者背景におけるアテゾリズマブの以前の第2相データと一致して十分な忍容性と持続的反応を示した。

(391;748-57:Thomas Powles et al:FEBRUARY 24,2018)

※アテゾリズマブは「テセントリク」の商品名で中外から発売されており、上記本文中に登場する他の抗がん剤は代表的なものとしてパクリタキセル[PTX]は「アブラキサン」が大鵬、「タキソール」がブリストルから、ドセタキセル[DTX]は「タキソテール」と「ワンタキソテール」がサノフィからそれぞれ発売されている。