ペットからの感染症に注意

ペットは癒しを与えてくれる大切な存在。

昔と違って室内でペットを飼う人が増え、大切な家族の一員として過ごしている家庭も多くな
りました。
しかし、動物から人間へ、人間から動物へうつる可能性のある病気には注意が必要です。

●動物由来感染症
 動物由来感染症とは、動物と人間との間でうつる感染症のことで、人獣共通感染症とも言われています。

国内の主な動物由来感染症として、「トキソプラズマ症」「鳥インフルエンザ」「レプトスピラ症」「オウム病」「サルモネラ症」などが挙げられます。
また、動物から直接感染するだけではなく、「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」のように蚊やダニが媒介することもあります。

最近では、2018年1月に「コリネバクテリウム・ウルセランス感染症」による死亡例は国内で初めて確認されたことが話題になりました。
厚生労働省によると、福岡県の60代女性が呼吸困難に陥り、救急搬送されて3日後に急死、血液などから「コリネバクテリウム・ウルセランス菌」が検出されました。
女性は屋外で3匹の猫にエサを与えるなどの世話をしており、その内の1匹から菌が検出され、猫から感染した可能性が高いと言われています。

●感染を防ぐために

*過剰なふれあいは控える

健康な動物でも、口の中や爪に細菌やウイルスがいる場合があります。
キスをしたり、口移しで餌を与えたり、スプーンや箸の共用はやめましょう。
動物を布団に入れて寝ることも、知らないうちにひっかかれたりするので要注意です。

*動物に触ったら、必ず手を洗う

動物は病原体を持っていたり、毛にカビの菌糸や寄生虫の卵等がついている場合があります。
だ液や傷口などに触ってしまうこともあるので、必ず手を洗いましょう。

*動物の身の回りは清潔にして、排泄物は速やかに処理

飼っている動物はブラッシングや爪切りなどの手入れをしましょう。
お気に入りのスペースやケージ、寝床などもこまめに掃除をして、清潔に保ちましょう。
また、排泄物が乾燥すると、その中の病原体が空中に漂って吸い込みやすくなるので、早めに処理しましょう。

*野生動物に触らない

飼い主がわからない犬や猫、野生動物はどのような病原体を持っているか分からないので、むやみに触ることはやめましょう。また、動物が排泄を行いやすい砂場や公園は注意が必要です。砂あそび、ガーデニングや土いじりをした後は、十分に手を洗いましょう。

*犬の狂犬病予防注射と登録

飼い主には狂犬病予防法で、飼い犬の登録と毎年の狂犬病予防注射の実施が義務付けられています。

●気を付けること

*ペットの健康状態に注意

ペットが動物由来感染症に感染したとしても、軽い症状や無症状のことがあるため、知らないうちに飼い主が感染してしまう場合があります。
また、動物に寄生するノミやマダニが病原体を媒介することがあるので、定期的な駆除と定期健診を受ける等ペットの健康管理に注意し、病気の早期発見に努めましょう。 もし、ペットが病気と診断された場合は、人にうつる可能性があるか獣医師に確認しましょう。

*体に不調を感じたら、早めに医療機関を受診

動物由来感染症に感染しても、風邪やインフルエンザのような症状や、皮膚症状が出る場合が多く、病気の発見が遅れがちです。
特に、子どもや高齢者は発症すると重症化しやすいので要注意です。
医療機関を受診する際は、ペットの飼育状況や健康状態、またその他動物との接触状況についても医師に伝えましょう。